お金とは「未来に渡すための預かり金です」
連携する企業のネットワークが広がるほどに、そこから生み出される製品やシステムは島田氏の手をどんどん離れ、“市場の原理”で動くようになる。モノやサービスがあふれる時代に、いつしか理念や理想、広めたい概念は薄まり、つくり手や売り手にとって「売ること」自体が目的化する可能性はどんな製品にもつきまとう。
島田氏に「お金」とは何かと尋ねると、秒を待たず「未来に渡すための預かり金です」と返ってきた。「稼いだら、『人』に投資する。食料生産など人が生きること、子どもや孫の世代のためになることにお金を渡す。未来への責任を負うのが大人の仕事だと、子どもたちの前でそんなかっこいい話を堂々としたい」と語る。
投資した分に少しでも利益を上乗せして“刈り取る”ことが、現代のありふれたビジネスの姿だとしたら、島田氏にはもう一つ、別次元のチャレンジが待っている。
関わる企業や人々に、理念、理想、広めたい概念を何度も打ち立て、「そもそも、なんのため、誰のために」を繰り返し確認し続けること。原点となる「命を守る」という島田氏自身の思いが製品やサービスを扱う人々に染み渡ったとき、ワンテーブルが旗頭になる「防災ビジネス」は、世界を席巻する一大産業として成長し続けるのかもしれない。その日はきっと、遠くない。