Jack Welch ジャック・ウェルチ●1935年、米国マサチューセッツ州生まれ。マサチューセッツ大学卒業後、イリノイ大学で博士号を取得、ゼネラル・エレクトリック社入社。副社長、上席副社長を経て、副会長に就任後、最年少の会長兼最高経営責任者となる。「フォーチュン」誌の「20世紀最高の経営者」に選ばれた。(写真=Getty Images)

この作業はリーダーであるあなたから始まります。企業目標に対する最終的な説明責任はあなたが負うわけですから、目標を生み出すのはあなたの仕事です。市場や製品について優れた見識を持っている人の言葉には、もちろん耳を傾ける必要があります。特に反対意見や顧客の意見はよく聞き、データを集めて、咀嚼してください。でも、どう勝利するかという方針については、自分で決めなければなりません。その際、婉曲な言い方をしてはいけません。

ナイキのかつての目標、「リーボックをつぶせ」を思い出してください。あれは方向性として正しいものでした。また、グーグルの企業目標は、「世界で最も素晴らしい検索エンジンになる」といった漠然としたものではなく、「世界の情報を系統立てて、それを誰でも利用できる、誰にとっても役立つものにすること」です。これもとても秀逸ですね。わくわくすると同時に達成可能なもので、何より誰でも理解できるものです。

目標を決めたら、今度は社内のより多くの人を巻き込んで価値観を確立しなければなりません。たとえるなら、最も優秀な社員が絶好調な状態でできる、最高の状況を描き出し、その実現に向かうという作業です。その行動を周りが見習ったり、評価したりしやすいように、より生き生きした言葉で描き出さねばなりません。例として、私たちが耳にしたことがある素晴らしい目標をいくつか挙げてみましょう。

「スーパースターは決して失わないこと」「悪いニュースは社内の人々にもクライアントにも迅速に伝えること」「プロセスではなく結果に対して個々人が責任を持つこと」などです。よくあるありきたりの言葉とは違って、これらの言葉はちゃんと意味を持っており、社員を動かす力があります。

そして、それこそあなたが目標と価値観の両方で求めておられるものです。特に方向転換されるとなると、なおさらそれが必要となってくるでしょう。

新たな船出に幸運をお祈りします。

(翻訳=ディプロマット 写真=Getty Images)