ロンドンの週末は深夜まで若者たちが大はしゃぎ

現在のイギリスにおける入国条件を見ると、11月1日をもってすべての国・地域からの入国者に対するホテル等での強制隔離は不要となった。現状では、公共施設屋内あるいは公共交通機関利用の際はマスクの着用を求められているものの、すでに罰則が伴う「強制」ではなくなっている。

パブやレストラン、ナイトクラブの入場制限は解除され、“ウエストエンド”と呼ばれる市内中心部の劇場街では、ロンドンの名物ともいえるミュージカルの公演がコロナ禍前のように深夜まで開かれるようになった。サッカーのプレミアリーグもまたしかり、9月のシーズン初めには一部のスタジアムで定員を減らしていたりもしたが、すでに制限なく満席に近い状態になった。

目下の問題は、週末に大はしゃぎする若者を「いかに自宅へ帰すか」だ。ロンドンにはもともと、「ナイトチューブ」と呼ばれる金土曜日限定で地下鉄の終夜運行が行われていたが、コロナ感染の広がりですでに1年以上中断されている。ところがコロナの活動制限が解かれるやいなや、郊外に住む若者たちが週末になると一気に中心街へと繰り出し、ナイトクラブなどで大騒ぎするようになった。

音楽フェスを楽しむ聴衆たち
写真=iStock.com/bernardbodo
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「あんな満員のバスに乗ったら感染しそうだ」

地下鉄が走っていない週末の夜、この若者たちを郊外に帰すには、深夜運行のナイトバスがその任務に当たる。しかしまったくキャパシティーが足りず、中心街から出るナイトバスはいずれも立錐の余地もない満席状態で郊外へと向かっていく。

筆者はフランスからの出張の帰り、深夜の中心街から郊外にある自宅に帰る際、この週末の大混乱にたまたま当たってしまった。バス停で待っていた若い男性が、20代の女性2人組にこう話しかけていた。

「あんな満員のバスに乗ったらコロナに感染しそうだ。一緒の方向に帰るなら割り勘でタクシー乗らない?」

そもそも満員のバスに乗るのに「コロナがどうこう」と言うならば、そんなに深夜まで繁華街で遊びまわること自体をやめておけばいいのにと思うのだが、1年半以上にわたって抑え付けられていた若者たちはとにかくどこかでハメを外したいのかもしれない。