人にかまっている暇がないほどやりたいこと

私自身の話でいうと、1年前ぐらいは、たまに嫉妬の感情が芽生えることがありましたが、ここ最近はわいていないと感じます。というのは、やはり自分の目指していく方向、ビジョンが以前よりも明確になってきたからです。

撮影=Hiroshi Homma

いつでもどこでも禅を体験できる「InTrip」というアプリを開発したことで、これまで以上に多くの人に禅を広めることができるようになってきました。「禅を人々の生活に取り入れてもらう」という目標ができたことで、長期目線で禅の普及に向き合うことができるようになりました。

今の私には、自分が他の人が歩いていない道、自分独自の道を歩いているというイメージがあります。自分のやるべきことに忙しくて、人のやっていることにかまっている暇がない。今よりももっとよくしたい、と先のことまで考えています。

一方プライベートでも、この時期にはこうなっていたいよね、と家族でビジョンを共有しています。ですから他の家族と比べる要素がありません。

「たすき」を意識すると辛いことが小さく見える

嫉妬の背景にあるのは人との比較です。人と比べると苦しくなります。まず「自分の人生を生きる」というスタート地点に立ち返って、自分の人生を長期目線で見ると、ずいぶん楽になるのです。

長期目線で見るときに、ぜひ持ってほしいイメージがもうひとつあります。それは、この時代に生まれ、自分の人生で受け取った「たすき」を次の世代に渡すというイメージです。たとえ人生で辛いときや思い通りにいかないことがあっても、それと向き合って乗り越えたことは、非常に大きな価値のあること。強い嫉妬や焦りを感じたときこそ、自分なりの対処の仕方を観察して、次の世代にしっかり伝えていくといいと思います。そうすれば、あっちに追い抜かれたとか、向こうのほうが成績がよかったといった話は小さな話になっていくでしょう。

「たすきの受け渡し」という感覚を、ぜひ持っておいてほしいと思います。