ドライバーの体調異変による事故は、年間300件近く起きている
今回はテストコースで危険な状態を安全に再現できる環境であったことから、車線内停止型EDSSをスーパーグレートで体験した。
ACCとLK両機能を働かせた状態で60km/hで走行中、急な体調不良を模してステアリングから手を放して運転操作を放棄する。すると、15秒後にディスプレイ表示(黄色)の警告、続いて30~50秒後にディスプレイ表示(赤色)と共に5秒ごとの警告ブザーが鳴り、55~59秒後には警告ブザーが1秒後ごとに早期化され、同時にハザードランプが点滅。
そして60秒が経過するとEDSSの制御が始まる。車内では警報ブザーが大音量になり、同時にブレーキ制御が介入。制動開始から約10秒後には完全停止を行う。制動中はストップランプや、走行用ヘッドライト(いわゆるハイビーム)が点灯し、さらにホーンも鳴らしながら、自車トラックに異常があったことを周囲の車両に知らせる。
今回、筆者が体験したケース(60km/hで走行時にドライバーに異常発生)で検証すると、スーパーグレートの車線内停止型EDSSは、減速度1.68(▲0.168G)を保ちながら、制動開始から約82.6m走行した時点で停止する。その間は、自動化レベル2の運転支援技術によって車線維持(車線をはみ出さないようにする自動ステアリング制御)が行われ、他車との接触を可能な限り抑制する。
アクティブ・サイド・ガードアシスト1.0と車線内停止型EDSSの新技術は、いずれも機能としては不完全かもしれないが、ドライバーとして体感してみるとじつに効果的であることがわかった。
なかでも、年間300件近くドライバーの体調急変に起因する事故が発生していることから、車線内停止型のEDSSがもたらす被害軽減機能は社会的損失度の低減という側面からも重要だと実感することができた。
技術との「協調運転」が求められるようになる
このほか、いすゞ自動車の大型トラック「ギガ」も先進安全技術をふんだんに実装する。
ギガでは、車体の4隅に電波を発するミリ波レーダーを備え、車体の左右前方と左右後方の歩行者、自転車、二輪/四輪車を検知してドライバーにその存在を知らせ注意喚起を行う。
また、右Aピラー(車内右前の運転席側にある柱)に光学式カメラである「ドライバーモニターカメラ」を埋め込み、ドライバーの顔向きや運転姿勢をモニタリングし運転注意度が下がったとシステムが判断した場合には警告ブザー報知する。
この先は、乗用車や商用車の分け隔てなく、快適な移動を実現する自動化技術と、こうした先進安全技術が融合する度合いがますます高まる。従ってドライバーとしては、技術の特性を理解して過信せず、それらとの協調運転を行うことが重要になっていく。