押し付けられた休みでは自己効力感が下がる
「有給休暇が取りやすくなったから、もう解決されているんじゃないか」とおっしゃる人もいるかもしれません。たしかに、2019年より労働基準法が一部改正され、最低年5日は使用者が時期を決めて、有休を取ることが義務付けられました。
しかし、みなさん、有休を自分の好きな時期に充分に取ってエンジョイしたという記憶はあるでしょうか?
有給休暇の取得率は、2017年の厚生労働省の調査でも51.1%に過ぎず、また取得率の高い業種と低い業種では約40%もの差があります。わたしも大学病院時代は、有休はあるにはありましたが、取った記憶はありません。当直明けでしんどいので有休を使って家に帰ろうとしたら、患者さんの具合が悪くなって、家族が話をしたい、研修医が相談をしたいなど、結局なんだかんだ連続勤務になっていました。
最近では、有休を消化していないと労働基準監督署から目をつけられるので、無理やり取らせる会社もあるようです。ありがたいようですが、メンタル面を考えると、他人の指示で休むのは、あまりよくないことなのです。「自己効力感」を損なってしまうからです。
自己効力感とは、結果を出すために適切な行動を選び、かつ成し遂げる能力をもっていると、自分がちゃんと認知していることです。簡単に言えば、自信に近い意味でしょうか。高い自己効力感をもった人は、積極的な努力が可能となり、結果的に目標を達成しやすくなります。
主体的に休みを取ろう
休みに関しても、国や会社に決めてもらうのではなく、「自分で決めて、選ぶ」ことが、自己効力感を高めます。
結論として、土日や祝日、ゴールデンウィークや年末年始はもちろんゆっくり休むとして、それ以外でもぜひ自分の裁量で決めるオフを設けましょう。
「休む」ことにもオーナーシップをもつということです。ちなみにオーナーシップとは、与えられた職務やミッションにして主体性をもち、取り組む姿勢やマインドのことです。具体的には、長期休みの予定は半年~1年前に立ててしまう、あるいは仕事の予定が決まる前に、有休の日を設定してしまう、などです。
激務だった大学病院時代のわたしのように、なかなかうまくいかないかもしれません。しかし、リモートワークも普通のことになり、時代は変わってきています。ぜひ休みを受動的に「与えられる」のではなく、自分から積極的に「取る」ようにしてください。また管理職の人は、休みを柔軟に与えられるような仕事の割り振りなどの管理を、これからはより強く念頭に置く必要があるでしょう。