思考を動かすサイクルは「仮説→観察→問い」
僕は自著『ぼくらの仮説が世界をつくる』で、仮説から思考を始めることを主張した。最近では、安斎勇樹さん・塩瀬隆之さんの『問いのデザイン』がベストセラーになった。タイトルの通り、どのようにすれば良い問いをデザインできるのかについて書かれた良書だ。「問い・仮説・観察」の3つがグルグル回っている。
どこを起点にすると思考が動き続けるか。
そう考えたときに、安斎さんらは、「問い」だと思ったのだろう。本書では、「仮説」を起点とすると、サイクルが回り続けると仮定し、話を進める。正直、起点はどこであってもいい。このサイクルが回らなかったり、止まってしまったりしたときに、どうやって揺さぶりをかけ、動かすのか。その手段はたくさんあったほうがいい。
僕が、仮説からサイクルを始めるほうがいいと考えるようになったきっかけは、「行動サイクル」にヒントを得たからだ。
熱量を高めるには「振り返り」から始めること
具体的に行動を起こすときには行動サイクルというものがある。行動サイクルとは、全ての行動は「計画」→「実行」→「振り返り」のプロセスを踏むことになるというものだ。
通常このサイクルでは、「計画」を起点にすることが多いのだが、どうも計画倒れになりやすい。計画から始めると、行動の熱量が上がらないことが多い。
どうすれば行動の熱量が高まるのだろうと試していたときに、「振り返り」を起点にすると行動の熱量が高まり、自分ごととして「計画」を立てやすくなると感じた。
この行動サイクルの「振り返り」に当たるものが、観察(思考)サイクルでは「仮説」だ。とにかく雑にでもいいから、仮説を立てる。そうすると、仮説を検証したいという欲望が生まれ、熱量のある観察が始まる。