“裏切り”を受け入れた二階幹事長の本当の狙い
二階が菅の“裏切り”をすんなり受け入れたのはなぜか。党内の反二階の動きが広がっていることに危機感を募らせたのであろうが、週刊現代(9月4日号)は違う見方をしている。
「菅を自分にとって都合のいい操り人形として、総理の座に据えたのは二階だ。しかし、いまや玩具は壊れた。用済みとなったガラクタはさっさと片付け、別の人形に取り換えなければ、幹事長たる自分の身も危うい。
(次はどいつだ)
実のところ、二階はすでに決断している」
二階にとって、菅首相などはどうにでもなるが、次の衆院選に惨敗すれば幹事長に留まるどころか、議員引退を余儀なくされる。そうなれば後継にと目論んでいる三男に地盤も看板もカネも引き継げなくなるかもしれないのだ。
老獪な二階が、菅のひと言で権力の座を諦めるとは思えない。安倍に対する対抗心は燃え盛っているはずだ。
現代は、二階が菅を捨てて次に選ぶのは、「国民の支持率は高いが、相対的に党にとってはどうでもよい人間」だと見ている。
それは石破茂元幹事長だというのである。
石破氏を担いで首相にすれば一石二鳥と考えたか
たしかに、石破は総裁選には出ないといいながら、岸田が出ると、「白紙だ」といい方を変えている。
サンデー毎日(9月12日号)で石破はインタビューに答えて、
「森友、加計、桜を見る会について党内からの追及や質疑はほとんどなかった。自浄作用が全く働かない自民党になってしまった、と国民は受け止めている。おかしいことをおかしいと言えない空気ごと変えなければならない」
と、はっきり安倍批判をしている。
二階にとって、菅を捨てたその手で、安倍の嫌がる石破を担いで首相にすれば一石二鳥。政局の達人・二階が最後の賭けに出たと見てもいいのかもしれない。
産経新聞は朝日同様「二階幹事長交代へ」と報じているが、読売新聞は二面で、「首相、二階氏交代検討」と含みを持たせた内容になっている。
二階を斬ると動いたのは菅首相の焦りである。
総裁選に出馬すると意欲を持っていた下村博文政調会長に、「出馬するなら会長を降りろ」と迫り、辞退に追い込んだのも同じ理由からであろう。文藝春秋で出馬宣言をした高市早苗元総務相も出馬すると意気込んでいるが、安倍も含めて周囲は冷ややかなようである。