官房長官時代の情報も札束で買ったのか

三木武夫首相の官房副長官だった海部俊樹も文藝春秋(2011年3月号)で、こう証言している。

「官房長官の部屋に金庫が置いてあって、私が総理の頃は常に2千万円ぐらいは入っていましたね。外遊に行く議員には、一袋ずつ渡しました。一袋は百万円です。(中略)いずれにせよ、国民に説明できない使途であったことだけは確かです」

野中のときは約7000万円(その倍はあったという証言もある)が毎月金庫に入れられていたという。

こうした“悪習”は今も続いている。

菅は官房長官時代「情報通」を自任していた。その情報の多くは、札束で買い取ったものだったに違いない。

テレビで、自分は政権の内部情報を知っているとひけらかす御用聞き評論家たちの多くは、何らかの名目を付けた機密費を懐にしているはずだ。

菅の在任中の機密費がいくらだったかを暴露したのは、共産党の機関紙・赤旗だった。2020年6月6日付の記事にはこうある。

「第2次安倍内閣が発足してからの7年間で使った『内閣官房機密費(報償費)』86億円余のうち領収書不要の“つかみ金”である『政策推進費』に78億円も使われたことが5日、本紙が情報公開で入手した資料で判明しました。

新型コロナウイルス対策として、260億円をかけるアベノマスクや『桜を見る会』など、税金の不可解な使い方が次々と明らかになる安倍内閣。使い道を明かす必要すらない官房機密費ではどうなっているのか―。(矢野昌弘)」

86億円使って国庫に返納したのは37万円だけ

「2012年12月に発足した第2次安倍内閣が昨年12月末までに支出した官房機密費は計86億3100万円余となっています。

官房機密費は、会計検査院に対しても領収書や支払先を明らかにする必要がありません。中でも『政策推進費』と呼ばれるお金は、菅義偉官房長官自身が管理し、菅氏に渡った時点で支出が“完了”したものと扱われます。

そのため、『政策推進費』の使い道は菅氏や安倍首相官邸の裁量で決まり、領収書も不要。官房機密費の中で最も“ヤミ金”の性格が強いお金です。

安倍内閣が19年に使った『政策推進費』は11億650万円。7年間で計78億6730万円を使っていました。官房機密費全体の91%が『政策推進費』だったことになります。また、19年3月の年度末までに使い切れず国庫に返納した機密費は4万3268円でした。ほとんどを使い切っていました。国庫に返納した機密費は7年度分をすべてあわせても37万円余でしかありません」(しんぶん赤旗電子版2020年6月6日)