中国のヘンプ栽培面積はカナダとアメリカを抑えて世界1位
中国で栽培されたヘンプは繊維や織物、建材、食品など幅広く使われているが、大麻企業は政府の支援も受けながら、製品加工技術の向上に力を入れている。
中国のヘンプの大半はロシア国境に近い北部の黒龍江省と、南西部の雲南省で政府の管理のもとに栽培されている。中国の農家にとって利益率の高いヘンプは、「グリーン・ゴールド」(緑色の外観を持つ金のたとえで、金のように価値が高いという意味)と呼ばれているそうだ。
たとえば、ヘンプを1ヘクタール栽培した場合の収入は1万元(約1500米ドル)くらいで、トウモロコシの3~4倍になるという。しかもヘンプは害虫に強く、殺虫剤など農薬を使う必要がほとんどない。
香港で発行されている日刊英字新聞「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP=南華早報)」は、「中国の毎年のヘンプ生産量の公式な数字は出ていないが、ヘンプ農家は栄え、生産量は増えている。政府支援を受けたヘンプの軍事用途の研究なども行われるようになった。政府の支援と長い伝統のおかげで、中国は静かにヘンプの生産と研究における大国になった」と報じている(2017年8月27日)。
同紙はまた、中国の農家が寒帯気候や亜熱帯気候などまったく異なる気象条件のもとでヘンプを栽培できるのは、政府の支援を受けた研究者が厳しい気象条件下でも栽培できるハイブリッド品種を開発したからであると伝えた。
中国のヘンプ生産量の正確な数字はわからないが、米国のヘンプ啓発推進組織「ミニストリー・オブ・ヘンプ(MOH)」が2019年4月に発表した「世界のヘンプ栽培国ランキング」によれば、中国は栽培面積においてカナダ、米国、フランスなどを抑えて第1位となっている。
中国が「世界のヘンプ大国」と呼ばれる背景
MOHは、中国のヘンプ栽培面積は20万~25万エーカー(約8万~10万ヘクタール)と推定。中国が世界の主要なヘンプ栽培国になった背景には、政府がヘンプ栽培を一度も禁止したことがないことに加え、ヘンプ産業を積極的に支援していることがあるとしている。
2位のカナダは2017年にヘンプの栽培面積を前年の7万5000エーカー(約3万ヘクタール)から14万エーカー(約5万6000ヘクタール)に増やした。3位の米国は2018年に連邦法でヘンプ栽培を合法化したばかりなので、ランキングに載ったのは初めてだが、2018年には7万8176エーカー(約3万1500ヘクタール)で栽培され、前年より大幅に増えた。
4位のフランスは2017年に4万3000エーカー(約1万7000ヘクタール)で栽培され、欧州で最も多かった。フランスのヘンプ産業は綿産業の発展によって一時衰退したが、1960年代に復活し、その後、栽培面積は徐々に増えているという。
中国が「世界のヘンプ大国」と呼ばれる背景には、栽培面積の多さに加え、ヘンプ草の品種改良や製品の加工技術向上などに積極的に取り組んでいることがある。