また、バスケットボールやバレーボールの競技者と比較すると、水泳選手は骨量が少ないという報告もあります。これもやはり、水中は骨にかかる負荷が少ないためと考えられます。

骨に適度な負荷がかかると、「より強くなろう」として骨づくりが活性化します。骨への刺激が、骨の主成分であるカルシウムの沈着を促進するのです。逆に負荷が少ないと骨は相応の弱さでよいことになり、骨づくりが停滞します。いくらカルシウムを摂取しても骨づくりに活かされません。

健康や美容に気を使う人は骨の老化を招きやすい

美容の意識が高い人も要注意です。

理由の1つは、日焼け対策で日光を浴びなくなること。紫外線は体内のビタミンD生成を促進します。ビタミンDは、腸のカルシウム吸収率を高める、骨づくりに欠かせない栄養素です。

コロナや熱中症も怖いですが、まったく紫外線を浴びないことはビタミンDの欠乏を招きやすく、骨を弱くする恐れがあるのです。メラニン色素が少ない白人は紫外線を吸収しづらく、ビタミンDの不足しやすく、より骨が弱くなりやすいという調査もあります。

カウンセリングをうける人と骨の写真
写真=iStock.com/SDI Productions
※写真はイメージです

もう1つは、過度なダイエット。特に食事制限によるダイエットは要注意です。

カルシウムやビタミンD、ビタミンKといった栄養素が不足する恐れがあるのはもちろん、女性ホルモンの分泌が減ってしまい、骨を壊すスピードが速まってしまう危険性もあります。また、体重が軽くなりすぎると骨への負荷が弱まってしまうリスクもあるでしょう。

顔の骨量が減ると骨が小さくなり、皮があまることでシワやたるみの原因にもなります。美容のためにやっていることが結局は骨の老化を招き、美を損なってしまっては本末転倒です。

女性は60歳を過ぎたら全員“骨粗しょう症予備軍”

骨量のピークは、なんと20歳前後。一般的に男女とも20歳前後で、一生のうちで最も骨量の多い「最大骨量」に達します。

ピークを迎えた後は、40歳頃までは一定の骨量を維持し続けますが、その後は加齢とともに骨づくりのスピードが衰え、男性も女性も徐々に骨量が減少していきます。

20歳までは骨の貯金期間のようなもの。骨の貯金が少ない人ほど、加齢などで骨量が減りはじめたときに、より早い段階で骨粗しょう症のレベルにまで落ち込んでしまう可能性があるのです。

骨量が増えるのは20歳まで。40歳からはどんどん落ちる。
骨量が増えるのは20歳まで。40歳からはどんどん落ちる。

女性の場合は、閉経を迎えて50歳頃から、急速に骨量が減少します。これは、閉経により卵巣の働きが低下して女性ホルモンの分泌量が一気に減少することで、骨を壊すスピードが加速するからです。

女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが流出するのを抑制する働きがあります。