ふくらはぎの筋肉が固くなりすぎると、足首の背屈(そらすこと)が制限され、つまずきやすく、転びやすくなります。筋肉はしなやかでなければ痛める原因ともなります。

この患者さんには、「かかとの上げ下ろし」と「ふくらはぎストレッチ」を習慣にすることを勧めました。時間に余裕があっても、ふくらはぎの張り具合を見て、15~20分で軽く流す日も作るようにもお勧めしました。何事もほどほどとバランスが大切です。

「貯筋」で、転んでケガをしない身体づくりを

日本理学療法士協会では、健康寿命を延ばすには転ばない身体を作ること、そのためには「立つ、歩く際に必要な筋力を保っておくこと」が重要と指摘しています。立つ、歩く際に必要な筋力とは、まさに腹筋、太もも、ふくらはぎの3つのFの筋肉です。

これらを鍛えれば、転びにくい身体になり、もしも転んだ時でも手を付けて転ぶなど、衝撃を吸収できるようになります。

コロナ、暑さなどで巣ごもりをしてると運動不足で下肢の筋肉が衰え、転倒やケガのリスクが高くなります。いつでもどこでも一人でも実践できる貯筋トレーニングで3つのFの筋肉を鍛えることがますます大切になります。文章やイラスト、動画を見て貯筋運動をスタートしても「自己流ではないか心配」という人は整形外科やペインクリニックを受診し、理学療法士のリハビリ指導を受けてください。

2回にわたり、腹筋、太もも、ふくらはぎという3つのFの筋肉の「貯筋」の大切さと簡単な実践法を6種類ご紹介しました。最初は10~20分かかるかもしれませんが、慣れてくると5~10分くらいで6種類全部こなせるようになります。

体調やご都合で時間や回数は調整しましょう。続けることが何よりも大切です。1人ではなかなか貯筋習慣を始められない人は、相性の良いパーソナルトレーナーを見つけて、コーチングを受けるのも良いでしょう。

※参考サイト
・公益社団法人 日本理学療法士協会ホームページ 理学療法ハンドブック
理学療法ハンドブック|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会
・順天堂CO-CORE「ステイホームでも本格的なリハビリを!オール順天堂が実現させた在宅運動プログラム」(順天堂大学保健医療学部理学療法学科)

(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)
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