※本稿は、永田利彦『ダイエットをしたら太ります。』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
中高生1902人の追跡調査で出た結果
ミネソタ大学のニューマーク・ステイナー博士が、ミネアポリス近郊の中高生1902人を10年間にわたって追跡調査した結果は、「ダイエットすると太る」というものでした。
この調査では、ダイエット(体重を減らすために食べ方を変えること)と、不健康な体重コントロール(絶食、ほんの少ししか食べない、ダイエット食品やダイエットドリンクの使用、食事を抜かす、より多く喫煙する、ダイエットピルの使用、嘔吐する、下剤の使用、利尿剤の使用)を分けていましたが、どれも続けるとBMIが上昇する、すなわち太るという結果が出ました。
では、いったいなぜ、ダイエットすると太るのでしょうか? ニューマーク・ステイナー博士は、その理由として、以下の4点を挙げています。
①ダイエットが、ごく短期間の行動であること。
バランスのとれた体、あるいは適正体重になるには、規則正しい生活を心がけ、毎日朝食を摂り、野菜や果物をしっかり食べ、運動を続けるといった、地道で長期的なライフスタイル変更が必要であるのに、性急に結果を求める。
②「ダイエッティングサイクル」に、はまり込んでしまうこと。
「ほんの少ししか食べない」「食事を抜かす」といった無理なダイエットによって飢餓状態に陥り、強い空腹感に苛まれて耐えきれずに食べ、食べ始めると食べすぎてしまう。すると今度は「ダイエットに失敗した」と意気消沈し、再び無理なダイエットに励む。このような負のサイクルが生じ、抜け出せなくなる。
③食欲をコントロールできなくなること。
自然に感じる空腹と満腹のサイン(生理的コントロール)に従わず、意志によって食欲を抑え付けていると、食べ物を口にしたとたん止まらなくなるなど、かえって食欲をコントロールできなくなる。
④太りやすい体質になること。
ダイエットによって摂取カロリーが低下すると、体は代謝を低下させて、少ないエネルギーで生命を維持しようとする。すると、エネルギー消費量が減って、太りやすくなる。さらに、ダイエットをすると脂肪細胞の数が増える。