基礎代謝量に大きな影響を与える「筋肉量」も減る
また、摂取エネルギーが減ると、筋肉量も減ります。筋肉のタンパク質(筋タンパク)は、常に合成と分解を繰り返していますが、摂取エネルギーが減ると合成量が減るだけでなく、分解量が増えるのです。なぜかというと、筋タンパクを使って糖を作り出すためです。
食事が足りないと血糖値が下がりますが、血糖は細胞にとって重要なエネルギー源であり、常に一定量が必要です。そこで、足りない血糖を補うために体は、細胞に貯蔵した貯蔵型の糖・グリコーゲンを分解してグルコース(血糖)にしたり、タンパク質や脂質から新たにグルコースを作り出したりします。この時、筋肉のタンパク質が使われるため、筋肉量が減るのです。
一方、基礎代謝量を臓器別に見ると、骨格筋・肝臓・脳がほぼ20パーセントずつエネルギーを消費しています(図表2)。アスリートは筋肉量が多いため基礎代謝量も多く、肥満した人は筋肉量が少なく脂肪が多いために、基礎代謝量が少なくなります。また、男性よりも女性の方が基礎代謝量が少ないのも、筋肉量が少ないためです。
筋肉量が基礎代謝量に大きな影響を与えているわけで、ダイエットや運動不足で筋肉量が減ると、基礎代謝量が低下して、やせにくくなるのです。つまり、エネルギーを溜め込みやすい体とは、基礎代謝量の低い、エネルギーを消費しにくい体なのです。