熟年離婚が増えています。拓殖大学准教授の佐藤一磨さんは「男性のほうが熟年離婚のショックを大きく受けやすい」と指摘。離婚後の行動が男女で真逆になっていることがわかりました――。
離婚数自体は減っている
テレビや雑誌、インターネットの記事の中で、「離婚」という文字を見る機会は少なくありません。有名人の離婚はその前に発生する不倫騒動を含め、多くの人の耳目を集める話題です。
ここまで見る機会が多いと、日本全体で離婚件数もさぞ増えているのかと考えてしまいますが、実態は真逆です。
日本全体では2002年以降、離婚件数は減り続けています。
2002年で約29万件あった離婚は2019年には約21万件となり、28%も減少しているのです(厚生労働省「人口動態統計」)。日本では結婚する人、出産する人が減少していますが、離婚する人も同じく減少しているという現状にあります。
増え続ける熟年離婚
さて、減り続けている離婚の中身を詳しく見ると、注目される変化があります。
それは熟年離婚の増加です。ここでの熟年離婚とは、同居していた期間が20年以上で離婚に至ったケースと定義したいと思います。
1980年だと熟年離婚に該当する件数は約1万1000件であり、離婚全体に占める比率も7.7%程度でした。これが2019年になると約4万件へと増加し、離婚全体に占める比率も19.4%にまで上昇しています(厚生労働省「人口動態統計」)。
このような熟年離婚増加の背景にあるは、高齢化の影響です。若年層の未婚化の進展もあってか、結婚している人々の年齢層が全体的に上昇しており、結果的に熟年離婚の占める比率も増加しているというわけです。このため、今後も熟年離婚は増加し続けると予想されます。