真面目な人ほど難しい
ダラダラ期をうまく過ごせない原因は、大きく2つあります。
ひとつは本人の性格です。そもそもメンタル不調になる人は、真面目で責任感の強い人が多く、「明日からダラダラしよう」と言ったところで、なかなかできません。休んでいるのに「会社のリズムを崩さないように」と目覚まし時計をセットしている人もいます。また真面目な性格なゆえに、いろいろなサイトや本を調べて「午前中に朝日を浴びたほうがいい」「外に出たほうがいい」と、体に鞭打って頑張ってしまう人も多いです。
でもダラダラ期は、ダラダラするのがいちばんの目的。自分で何かしたいという欲求が出てくるのを待っている時期なので、無理に何かしようとする必要は全くありません。「さすがに家にずっといると息苦しいな」と思った時になって初めて、外に出ればいいだけの話なのです。
ただ真面目な人にこういう話をしても、「昼夜逆転してダメ人間になってしまうんじゃないか」とすごく心配されます。しかし人間には体内時計がありますから、一度、昼夜逆転しても必ずいつかは戻ります。だから、それほど心配する必要はないのです。大型連休などで、ほぼ昼夜逆転になったけれど休みがあけてしばらくしたら元に戻った、という経験のある人も多いはずです。
家族が足を引っ張ることも
ダラダラ期をうまく過ごせない、もうひとつの原因は家族です。治療の一環として家でダラダラしているのに、家族から「そんなにダラダラしていると、会社に戻れないよ」と言われて、休むことがままならなくなるパターンです。
特に30~40代の女性の場合、パートナーがこうした事情を理解せず「俺は働いているのに、そんなにダラダラしていて復帰する気はあるのか」と、きつくあたられることがあるようです。またお子さんを抱えていると、自分自身も「休んでいるんだから、育児ぐらいちゃんとしないと」「私がだらだらしていると子どもにも悪い影響があるのでは」とプレッシャーを感じてゆっくりと休めず、結果的に回復に時間がかかってしまうことがあります。
こういった場合は、できれば子どもをパートナーに預けて、自分一人で実家に帰るといいと思います。とにかくダラダラしても自分が生活できる環境があることが重要。治療には実家を含めた家族の協力が不可欠なのです。
それでも、なかなか家族の理解が得られない場合は、外来に患者さんだけでなく、家族の方もいっしょに来てもらいます。そこで僕から「治療のためには、こういう休み方が必要だから、協力してほしい」とお願いします。
ただ、もちろんそのときは「わかりました」と言ってくれますが、実際に家でこちらが伝えた通りに協力できるかどうかは、なかなか難しい。正直、それほど大きくは変わらないという印象ですね。