評価面談をきっかけにスイッチオン
これまで職場の困った人といえば、パワハラ上司が代表格でしたが、最近、新たな問題の種となっているのが逆パワハラをする部下です。人前で上司を罵倒したり、侮辱したりするようなことを平気で言い、上司の指示は無視する。こういう部下が現場にいると、本当にやっかいです。
逆パワハラ部下のイメージは、20代半ばから後半の若者。ITリテラシーが高く、情報収集能力が高い。ですから「上司のくせにまだそんな非効率なことをしているんですか」「エクセルの関数を使ったら一発じゃないですか」といったことをさらっと言ってしまう。
「この仕事って結局、3年後はAIにとってかわられますよね。もう無駄だと思うんでやりません」なんてことも……。そもそもできもしないのに、知識だけはすごく持っていて、社内評論家を気取っている、それが逆パワハラ部下の典型です。
もともと怪しいところはあったにせよ、そこまで大問題にならなかったのが、豹変して問題化するのは、評価面談がきっかけであることが多いですね。つまり、自分の思っていたような評価がもらえず、そこからスイッチが入ってしまうパターンです。
自分が下に見ていた上司に「傍若無人にふるまっているところがダメだよ」なんて言われると、もう腹が立って、「許すことができない!」という感じで、みんなの前で暴れだすわけです。
「見てくれていない」「尊重されていない」と不満
そもそも会社というのは階層型の組織ですから、上司から評価を受けることは当たり前です。しかし今の若い人たちの中には、少なからず他人からの評価を受け入れることができない人がいます。
その原因は、本人の性格だけでなく、少子化、核家族化といった時代的な背景にもあります。なにしろ子どもの人数が少ないので、自分から発信しなくても、大人が「今日はどうだったの?」と聞いてくれ、目をかけてくれる。ちやほやされることに慣れています。
また、今は多様性が重視されています。誰もが「自分の好きなことで生きていこう」と言われる時代です。
そういった価値観で育ってきた子どもが大人になると、自分にちやほやしてくれない上司に対して「あいつは俺のことを見てくれていない」、自分の意見が通らないと「なんで私の意見が尊重されないの?!」と言ってしまう。