東京大学経済学部4年の三木智弘さん(25)は現在休学中で、北海道・札幌市が本拠のバレーボールチームを含むスポーツ関連企業3社の社長を務める。三木さんは「起業して役に立ったのは、母から教わった『知らない人にも挨拶を』『訪問時は手土産を』といった人付き合いの基本でした」――。

※本稿は、『プレジデントFamily2021年夏号』の一部を再編集したものです。

起業家東大生・経済学部4年生 三木智弘さん
撮影=岡村智明
起業家東大生・経済学部4年生 三木智弘さん

3つの企業の社長務める現役東大生(25)はどのように育てられたのか

「札幌に拠点を置く、プロバレーボールチーム『サフィルヴァ北海道』の運営をしています。チームが元気になれば、観光業の活性や健康に対する意識の向上につながると考えています」

そう語る三木智弘さんは三重県出身の25歳。休学しながらスポーツ関連企業3社の社長を務めている。

「起業のきっかけは父でした。父はサッカー日本代表チームのアスレチックトレーナーを務めていました。トレーナーは選手に同行し、けがの予防や治療を行うなど、チームにとって欠かせない役割でありながら、待遇面や契約が安定しない人も多いのです。こうした状況を改善するために、トレーナー全般の地位向上を実現したいと考えていました。現在はアスレチックトレーナーの教育・派遣事業なども手掛けています」

父・裕昭さんは日韓、ドイツW杯に随行した超一流トレーナーだ。日韓W杯では、智弘さんは試合中にけがを負った選手の治療にあたる父親の背中を最前席から見ていたという。

「大学2年生頃までは外資系コンサルタントに就職し、経営の面からスポーツチームに携わりたいと思っていました。ただ、コンサルの先輩に聞くと、コンサルタントからスポーツチームの経営者になるには、個人的なつながりや運の要素も強く、必ずしもスポーツに関われるとは限らないと言われました」

そこで智弘さんは確実にスポーツ業界に入るために起業の道を模索し始めた。自分を追い込むためバイトなどの収入を断ち、少しの貯蓄を元に、事業に共感して、お金を出してくれる人を探すために起業家のイベントに参加したり、東大生と経営者が会える機会を作ったりしていくなかで経営者との関係を構築していった。

「そんな中、ある投資家さんが『経営が厳しいバレーボールチームがあるんだけど経営してみる?』と声をかけてくれて『やります!』と即決しました」

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