他人と目標を共有すればパフォーマンスが安定する

他人と関心事を共有することができるのは、人間が持っている特殊能力です。単に同じ体験をするということではなく、一緒に体験したという認識を持ちます。この共有が、自分の行動選択や他人とともに成し遂げることに影響を与えます。

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他人と目的を共有できたとき、自律神経の腹側迷走神経系が働きます。過剰に代謝を高める交感神経系の活動を抑制し、適度に覚醒していい意味で力が抜けた体がつくられ、交感神経系が高代謝な状態より高いパフォーマンスが発揮されるのです。

自分の行動が社会の一部になっていることを確認したり、SNSで同じ目的をもって行動している人の記事に共感すること、目的を共有できるコミュニティに接することで、安定したパフォーマンスが発揮されます。

自分は行動の主体ではなく、ジグソーパズルのピースのような、全体を構成する1つ。だから、自分が得意な能力を磨くことで、全体の目的を達成する。このような考え方を、ジグソーメソッドと呼びます。

極端に高い成績を上げる社員は、必ず周りの人を巻き込み、自分だけで仕事を抱えないようにする傾向があることが研究で明らかになっています。1つの作業のある部分を自分が担う、認知的分業を実験してみると、自分と他人の課題遂行の方法の違いにいら立つことが減ります。

プロジェクトを進めるために、自分にはどんな役割があるかを考え、自分の持っている能力が必要な作業に注力することを意識してみましょう。

「これができていればいい」という“生活の核”を作るべき

先延ばしをしないこと自体が目的化すると、できたかどうかを人と比べ始めます。

「すぐにだらけてしまって、社会人失格なんです。休日の様子を話すのも恥ずかしいくらいで、普通の人のようにはなれないんだと思います」こんな相談の場合、特定の誰、というわけでもない、創り上げられた「誰か」と自分を比べる思考になっています。

「誰か」とは、あるべき姿としてのイメージです。他者から聞いた、ドラマで見た、小説で読んだ、そうすべきという周囲の空気。そんなもので創られた「誰か」からは、感覚データが得られません。

データがなければ、それに見合う行動が企画できないので、体は動きません。先延ばしをしないのは、脅威への防衛反応から動けなくなってしまうのを防ぐため、自分をいたわるためであって、他人、ましてや実在しない「誰か」の要求を満たすためではありません。

「誰か」との比較をしていると、実際に自分が取り組んだことも見えなくなってしまいます。そこで、自分のパフォーマンスの評価軸をつくってみましょう。日常生活の中で、「これ」ができているときはまあまあ充実しているというように、生活の核になる作業があるはずです。

朝起きられること、シャワーではなく入浴をすること、夕食をつくること、洗濯物を出しっぱなしにせずタンスにしまうこと、テーブルの上に捨てられる物が置かれていないこと、などなど。「これ」ができていないときは他人に目が向いているときです。

だらけてしまったけど「これ」はできている、と観察できれば、それなりに満足感を得られるはずです。「これ」をするために妨げになる動線を変えたり、「これ」をやりやすい順番にスケジュールを変えるなど環境設定をすれば、自分のパフォーマンスを守ることができます。