先進国の日本からパラダイムシフトを示すことになる今回の経験は、国民の自信や誇りにつながると思っています。組織委員会や政府の実務にあたった方々が世界の人々のアドバイザーとなることでしょう。

一足先に6月に満員で開催されている英国ウインブルドンのようにコロナと共存する世界的な問題解決方法の一つひとつが私たち国民の財産となっていきます。日本の海外渡航再開時に必要なノウハウの蓄積になります。

専門家会議や医師会に期待してはいけない

PCR陽性者減だけを目指す専門家会議にも医師会にも、私たちの暮らしに寄り添う新たなスタンダードを作ることは期待できません。

普遍化したコロナは、迅速かつ安価なものを選択する必要が出てきます。いつまでも新型判別のために登場したPCRにこだわると時間も地方自治体財政も足をひっぱられます。

感染コントロールに敏感な航空会社も簡易検査に移行しました(※17)。海外の大規模なコンサート会場でもその場で簡易検査することが予定されています(※18)。出先、故郷に帰る前、イベント会場、カゼひいた時など数分でコロナかどうか安価にわかると良いでしょう?

台風や地震で避難することも出てくるでしょう。電力のいらない即時性のある簡易抗原検査は、災害地の地方自治体では重宝されるはずです。屋外の炎天下では熱中症予防にマスクを不要にすべきです。

「さあ、オリンピックを楽しもう」

入手困難の時期にワクチンを世界から調達したのは、日本の信用と政府の力です。そして自衛隊の力を借りたり、地方自治体と直接連携をとったりしてワクチン接種を加速させ、成功につなげました。そこに専門家会議や医師会は存在しませんでした。

前に進むためにオリンピック委員会や政府が独自にガイドラインを作って運用を始めたのも当然のことです。有観客も良い選択であり、今後の経験につながります。

高齢者が安全になり被害が起きなくなった局面を迎え、コロナはもう身近な季節性ウイルスとしてあつかうべき世の中になりました。全体行動を取る必要はもうありません。一般国民自身がおのおの考え、自分で行動して良い局面になりました。

私たちに植え付けられた「陽性者は隔離」の考えを、自分たちで終わりにさせないといけません。ウイルスと共存して安全な世界がやってきたのです。屋外ではマスクを外して、熱中症対策を優先するガイドラインを作りましょう。

オリンピックの成功体験自体が、私たちの財産になります。また、日本が模索し作りだす新しいスタンダードは、季節性になったコロナと共存するお手本となり雇用拡大と景気回復にこぎ出した世界(※19、20)へ貢献することになるでしょう。

1年前のこのコラムで予想した通りに経過しています(※21)。オリンピックや甲子園を楽しみつつ夏の旅に出ましょう。