「コロナの流行が終わった」と断言する3つの理由

しかし私は、世界だけでなくとりわけ日本では医療崩壊するようなコロナウイルス流行は終わったと考えています。大きな理由は、以下の3つを挙げることができます。

1.国内でのコロナ流行は他国に比べ当初から非常に小規模だった。
2.重症化する高齢者と治療にあたる医療者にワクチン接種がほぼ完了した。
3.陽性者は無症状や軽症状の若年者が中心となり、適切な観察や対応で済むだろう。

コロナウイルスの被害は、国によって大きく異なりました。被害が大きかった海外との比較は不安を生むだけの情報でした。

私たちも、感染を疑われた患者さんには上記と似た処方で初期治療をしてきました。医療機関の交通整理(医療システム設計と病床コントロール)を怠り、軽症者に対し解熱鎮痛薬しか渡さず、自宅やホテル療養することを地方自治体や為政者にアドバイスした人々の不作為の罪は重いと思います。

注意が必要なのは「ゼロコロナは永遠にやってこない」ことです。それでもワクチン接種で被害が出にくくなれば、通常の感冒ウイルス(かぜ)と同じになります。新型だったコロナも「季節性感染症」の一つになってしまい、やがて気にさえしなくなるでしょう。

日本はすでに、こういったコロナと共存できる環境に無事パラダイムシフトできたと思っています。データを見てみましょう。

年齢によって大きく異なる被害

日本でのコロナの特徴は、感染による被害が少なかったことだけではなく、年齢によって被害が極端に大きく異なった点です。

重症者は80歳以上に集中しています。厚生労働省の『新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値、令和3年6月30日18時時点)』(※3)によると、80代以上の死亡率は50代の47倍、40代の100倍以上です。

次に、年代別のPCR陽性者数との関連を見てみましょう。30代以下の陽性者数は、死亡者数に反比例して激増しています。

陽性者数全体の77%が50代以下の人たちでした。しかし、その年代の死亡者数は全体の3%にすぎません。一方、陽性者全体の7%にすぎない80代以上の方が、死亡者数全体の64%を占めています(※3)

メディアは、日本では重症化しにくい20~30代を中心とした年齢層のPCR陽性者数増減を一喜一憂しながら延々と報道していたわけです。