彼らの見当違いはこれだけではありません。「エビデンスを持つ治療方法はありません」と陽性者を特別扱いしてきましたが、多数の患者さんを通常感冒のように初期対応し、死亡者ゼロを実現した長尾先生のような医師が国内にはいらっしゃいます。よって専門家会議の医療設計は、医療逼迫や国民の恐怖をいたずらに煽った大きな誤りでした。
何十万人も死亡するという計算も誤りでした。明日はNYやロンドンと言いつづけ被害が国別で大きく異なる考察も怠りました。もし半年前にこのような治療方法や湘南徳洲会の診療方法(※11)などを取り上げて全国に紹介していたら、社会不安は大きく減ったことでしょう。
さらに無症状者が多く「水際が存在しない」にもかかわらず、クラスター対策と封じ込めを行おうとしました。最後には感染経路不明が増えてしまい、際限ない広がりに専門家会議が追跡を放棄した形で終わりました。保健所の方と話すたび膨大な無為な作業を話題にしていました。
最近では変異型が猛威を振るうから被害が拡大するとも言い出しています。ワクチン接種が進む英国で、変異型の感染数が急増して経過が注目されていましたが感冒症状で済んでしまうことや(※12、13)高齢者の死亡者数が激減したことが報告されました(※14)。ワクチンは変異型にも有効なことも判明しています(※15)。
軌道修正の機会はたくさんあった
「時として重症化する感冒にすぎない」と人々の不安を減らしつつ、初期治療を行う医療機関を、診療所を含めて分散拡大させるべきでした。
そうすれば患者さんが集中した基幹病院の医療者の負担を減らすことができ、通常診療とともに必死にコロナを診ていた診療所の先生が責められたり、通常診療抑制による被害もなかったはずです。
私は少しでも患者さんに良い方法があるなら取り入れ、社会不安やパニックを取り除いていくことが医療者の正しい姿勢だと信じています。
専門家会議は間違えても軌道修正したり、異なる意見の先生と議論する機会は何回もあったはずです。彼らは、私たち国民を安心させて混乱を減らし、財産を守ろうとする善意や誠意に欠けていました。
そのためコロナウイルスによる超過死亡数がマイナスになるほど人々は過剰防衛をしてしまい、経済被害が不必要に拡大しました。結果、日本では「人災」となりました。
私は、6月上旬に地方自治体の県知事さんや市町村長さんのワクチン接種会議に参加しました。高齢者接種、職域接種、小児の接種をどうしたら良いか悩んでいました。
「高齢者接種が終われば仕事はほぼ終わりです。職域は準備できしだい、小児接種は最後でよくて強要してはいけません」と申し上げました。ワクチン接種現場でも専門家委員会や医師会は、アドバイザーとして機能していないと実感しました。