なぜ海外の美術館はたくさんの仏像を収蔵しているのか
2014(平成26)年には、ニューヨークで開かれたクリスティーズのオークションで、ある仏像が出品されたことが話題になった。
それは、興福寺に安置されていた「乾漆十大弟子立像」を構成する1体であった。現在、同寺に残る十大弟子立像は6体のみ。いずれも国宝に指定されているが、残る4体は廃仏毀釈時に散逸した。それが近年、海外で発見され、オークションにかけられたのだ。
せめて博物館の仏像展で、海外の美術館所有の仏像や個人蔵を見ることで、150年前の負の歴史の痕跡の可能性に思いを巡らせてほしい。熱狂しやすく、冷めやすい日本人の悲しい習性は、今もさほどは変わってはいないが。