先祖が眠る墓を撤去する「墓じまい」の件数がこの15年間で約2倍に増えた。ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は、「遠方にある墓の維持は面倒で、年数万円の管理費などがもったいない、という人もいますが、お墓の撤去費用、新規の供養墓への納骨費用、あるいは海洋散骨費などで、計100万円以上かかることもある」という――。
墓じまいの風景
撮影=鵜飼秀徳
墓じまいの風景

この15年間で約2倍「墓じまい」の知られざる落とし穴

「墓じまい」が増えている。

墓じまいとは、先祖代々、継承されてきた墓を撤去し、遺骨を別の場所の永代供養墓に移したり、海洋散骨したりすることである。

しかし、そこには落とし穴が隠されている。近年の「ブーム」に乗って、安易に墓じまいをしてしまったがために、むしろ金銭的にも精神的にも大きな負担を強いられるケースが出ているのだ。そうした事実を知らぬまま強行して痛い目にあう人も少なくない。もし、墓じまいしたいと考えているなら、今一度立ち止まって、冷静にこの記事を読んでから判断しても遅くないはずだ。

近年の墓じまいの急増ぶりを数字で示そう。

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、最新の調査である2019年度の改葬(事実上の墓じまい)の数は全国で12万4346件。5年ごとに遡って改葬数の変化を見てみると、2014年度では8万3574件。2009年度では7万2050、2004年度では6万8421件だった。15年前の水準の倍近くになっている。

墓じまいとは、かつては絶家に伴う「無縁化」のことを指した。だが、墓地継承者(縁者)が存在するのに墓じまいする動きが近年目立っている。あえて厳しい言い方をすれば、縁者がいるのに墓じまいする行為は「墓暴き」に近い。

墓じまいを希望する人の5つの共通項

墓じまいを希望する人の共通項としておおむね、以下の5つが挙げられる。

①「墓を承継する子や孫がいない」
②「お墓の維持にはコストがかかるうえ、管理が大変。子や孫に迷惑をかけたくない」
③「都会に移り住んでいるため、故郷の墓の管理ができない」
④「そもそも墓は不要。散骨でいい」
⑤「菩提寺の住職が気に入らない」