「何10万円もの離檀料を請求された」「住職が離檀させてくれない」

それぞれが、もっともな理由のようにも思える。

墓じまいは、墓が菩提寺にあるか、公共霊園にあるかにより対応が変わってくる。より厄介、と思われているのは前者、寺院に墓がある場合だ。

菩提寺に先祖代々の墓がある場合、墓じまいと同時に離檀(檀家をやめること)することになる。その際、住職と檀家との間で、「何10万円もの離檀料を請求された」「住職が離檀させてくれない」などのトラブルが報告されている。

高額の離檀料を払わなければ、改葬許可証(墓じまいの場合は墓地管理者の同意が必要)にサインしないというのは、人質ならぬ「骨質」を取っているのと同然であり、もってのほかである。

そもそも「離檀料」の法的根拠は存在しないので、仮に菩提寺から非常識な料金を請求された場合は断ってよい。一方で、菩提寺に長年お世話になったお礼として、常識の範囲内(数万円程度)でお布施を包むのは最低限の「マナー」というものだろう。

住職がどうしても離檀を受け入れない場合は、行政書士や弁護士などの代理人を立てるのもよいし、あるいはその寺院の檀家総代(檀家の代表)や、所属する包括宗教法人(寺院が所属する宗派の宗務庁)に苦情申立てしてもよいかもしれない。

日本のお寺
写真=iStock.com/Xavier Arnau
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以上のような事例は、前出リストの⑤「菩提寺の住職が気に入らない」に該当する。明らかに寺院側に問題があり、改善の余地がない場合は、菩提寺からの撤退を考えても致し方ないかもしれない。そのようなトンデモ和尚のいる寺院は早晩、潰れてしまうのがオチだろう。公共霊園での場合、墓じまいはこうした面倒なことはない。