メガネが体調不良の原因となることがある。NHKディレクターの大石寛人さんは「4万人以上の患者を診てきた眼科医の梶田雅義さんによると、患者の7割はよく見えすぎている“過矯正”のメガネをかけている。過矯正は視力に悪影響があり、頭痛や吐気などの体調不良の原因にもなる」という――。
※本稿は、大石寛人、NHKスペシャル取材班『子どもの目が危ない「超近視時代」に視力をどう守るか』(NHK出版新書)の一部を再編集したものです。
「メガネで人生が変わる」という患者たち
私がテレビディレクターとして、初めて「ガッテン!」(かつての「ためしてガッテン」)を担当した際のテーマは「メガネ」だった。
その時、眼科専門医を中心に何人かの専門家に取材をしたのだが、全員から必ず耳にしたのが次のような言葉だった。
「メガネのことなら、梶田さんに話を聞いてみたほうがいいよ」
日本眼光学学会理事を務めた梶田雅義さんは、これまで4万人以上の目を診察してきた、目とメガネ(コンタクトレンズ)のエキスパートだ。そんな梶田さんが最初の取材で話してくれた内容が印象に残っている。
「メガネで、本当に人生が変わる方がいらっしゃるんです。新しいメガネを試してもらうと、患者さんが『あっ!』と驚くんですよ。それが楽しくてやっているようなものです」
「メガネで人生が変わる」とは、どういうことか。都内の梶田さんの診療所で改めて取材をさせてもらうことにした。最初に驚かされたのは、本当に多種多様な目の悩みを持った患者が、全国からやってきていることだ。一例を見ていただこう。
「痛い、とかではなく、すごい違和感があるんです。『重い』が一番近いんですけど、(正確には)重いとも違うんですよね。目が開かないというか……」(30代女性)「目がぎゅっと握りつぶされるような(感覚があります)。頭痛もひどいです。眠ってもとれません」(40代男性)