尿意を感じない義母はリハビリパンツとパッドをはいていた

義父は聴力の衰えが著しく、会話を続けることが困難。義母はすでに尿意を感じなくなっており、リハビリパンツとパッドを使っていた。

トイレ
写真=iStock.com/Iuliia Mikhalitskaia
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「同居が決まったからには、介護認定を受けさせたい」と思った知多さんは、義弟たちに要介護認定調査を依頼。結果、義父は要介護1、義母は要支援1で、週に1度、3時間のリハビリ施設を利用することに決まる。

そして2012年の年末、新居が完成。知多さん夫婦は引っ越しし、新しい生活が始まった。

新居は夫の希望通り、平屋一戸建て。玄関もトイレもお風呂も台所も1つ。義父が望んだ二間続きの和室も実現。「ベッドで眠ると尿のダダモレが治る」と信じていた義母のための洋室もできた。

知多さんと夫の寝室は、二間続きの和室の、仏壇や神棚が置いてあるほう。もう一方には座卓を置き、居間として使うことに。

同居を始めて数カ月後、義母がインフルエンザにかかり、その数日後、知多さんも発症。

義母は洋間のベッドで療養できたが、知多さんの寝室は居間の隣の和室だ。回復した義母と耳の悪い義父が特大ボリュームでテレビを観るため、知多さんは眠れなかった。

一方、知多さんの夫は、義母から農業を教わり始めた。知多さんは家事担当。そして、夫と義母が作った野菜を農協に出荷する作業の手伝いをするようになった。

義母からは常にひどい尿臭がしていた

義父は90歳目前になっても免許の更新に出かけた。心配した夫が更新センターに「落としてください」と電話したせいか、2回落ちたが義父は諦めず、なんと3回目で通ってしまう。

知多さん夫婦と弟たちは必死に止めるが、全く言うことを聞かない。

しかたなく夫が車の鍵を隠したところ、「俺が買った車だ!」と激怒。2人は大喧嘩になり、その後は諦めた様子だったが、ある日うっかり夫が鍵を置き忘れたのを見つけ、義父は車で外出。何事もなく帰ってきたから良かったが、知多さん夫婦は冷汗が流れた。

一方、尿意を全く感じない義母は、リハビリパンツとパッド、そして「落とし紙」というものを使っていた。落とし紙とは、いわゆるちり紙のようなもので、それをパンツやパッドの上に敷いている。なぜ敷くのかと聞くと、「リハビリパンツやパッドを頻繁に替えると費用がかさむから」。

リハビリパンツやパッドには消臭加工が施されているが、落し紙にはない。そのため、本人は気づいていないが、常に義母からはひどい尿臭がしていた。

またあるとき、義母が電話で美容院の予約を入れているのが聞こえてきたため、知多さんが「その日、夫はいないですよ」と言うと、「清美に(車で)送ってもらうからいい」と言われ唖然。

「義母はすべて自分の都合で決めてしまい、頼むことをしません。優しい夫はそれでも文句を言いませんが、私は違います。今後また同じようなことがあると困るので、『予定を決める前に私の都合を聞いてもらえますか?』と一言言わずにはいられませんでした……」