2.決定権がある人の集まる場で報告をする

先ほど事例としても挙げたように、決定権がある人の集まる場で報告をして、その場で承認を得るという方法も有効です。人は、決定の場に自分が参加していれば満足し、反対意見を言わなくなります。また、抵抗勢力で一番影響力がある人と、個別で毎日のように話をすることも効果的です。定期的に相談し、意見を求め、その意見を取り込むことで、やがて一番の応援者になってくれます。

3.覚悟を持ち、毅然とした態度をとる

どんな状況であれ、経営者やDXの推進者は、相応の覚悟を持ち、毅然とした態度を取り続けることが求められます。

とはいえ、覚悟は目に見えないものです。そこで、覚悟は常に言葉にするよう推奨します。とくに経営者が、ことあるごとに変革の意識を言葉にし続けることは、本人が思っている以上に効果があります。私自身の経験やクライアント先での状況を見ていても、それは明らかです。会議で毎週、覚悟を言葉にしていると、最初は「トップが何か急に言い出した」と思われていても、3カ月後くらいには「本気なんだ」と、その覚悟が伝わります。

4.プロジェクト責任者である経営者から話をしてもらう

鈴木康弘『成功=ヒト×DX デジタル初心者のためのDX企業再生の教科書』(プレジデント社)
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1~3の方法を取っても抵抗する人には、最終手段として、組織としての強制力を働かせます。具体的には、トップに登場してもらうといった対応を行います。

これは、早い段階で使うとかえって恨みを買うことになるので、「ここぞ」というとき以外は使わないほうがいいでしょう。最終手段として置いておくことをおすすめします。

相対性理論でおなじみの理論物理学者アルベルト・アインシュタインの言葉に、「いつだって、偉大な先人たちは凡人たちの熾烈な抵抗に遭ってきた」というものがあります。新しいことに挑戦すると、抵抗勢力は必ず生まれてきます。それを前提とした対処方法を事前に準備しておくことで、プロジェクトはスムーズに進みやすくなります。抵抗はあって当然だと考え、前を見て進んでいきましょう。

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