組織のデジタル化を成功させるためには、何が重要なのか。DXコンサルタントとして数十社のDX化を成功させてきた鈴木康弘さんは「必ずと言っていいほど立ちはだかる壁が、社内の抵抗勢力だ。攻略するには4つの方法がある」という――。

※本稿は、鈴木康弘『成功=ヒト×DX デジタル初心者のためのDX企業再生の教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

プレゼンテーションを行うビジネスマン
写真=iStock.com/taa22
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売上5~10%増、コストは10~15%削減

新型コロナウイルスの感染拡大により、デジタル化の動きがますます加速しています。その動きは、「デジタル変革」に形を変えつつあると言っていいでしょう。

デジタル変革とは、DX(Digital Transformation)のこと。そしてDXとは、わかりやすく言うと、「デジタルによって仕事や生活が変革されること」です。

それまで店頭のみで販売を行っていた企業がネットショッピングを始めたり、対面での会議をやめて、Zoomなどを使ってオンライン会議を行ったりすることなどが該当します。

一般的には、デジタル改革による売上の向上は5~10%、生産性向上によるコスト削減効果は10~15%と言われています。当社のクライアントでもほぼ同程度の効果でしたが、コロナを経て、大きく成長した企業も少なくありません。

DXに参戦した企業の9割は迷走中

たとえば、当社のあるクライアントのEコマース(ネットショッピング)の売上は、コロナ禍でも50%以上の高い伸びを示しています。また、別のクライアントでは、社内コミュニケーションのデジタル化をはかることで、会議や出張が劇的に減り、販管費を10%近く削減しています。

移動や外出制限などの急激な変化を強いられたコロナ禍で、各企業は既存のやり方を壊し、ビジネスを変革せざるを得なくなりました。そんな中、一歩を踏み出してデジタルを活用したことで、成果を大きく上げた事例と言えます。「正しいやり方」でデジタル改革を進めれば、企業として着実に大きな成長が見込めるのが、真のDXだと私は考えています。

ここ数年、多くの企業がその重要性に気づき、DXに舵を切り始めました。

ところが、DXに取り組み始めた企業の9割が迷走してしまっています。

いったいなぜでしょうか?

その理由には色々ありますが、一つは、「抵抗勢力」への向き合い方に問題があると考えています。