暴力団から仕事を請け負っている場合も
筆者が面談した半グレは、総じてみると、少年も青年も生育家族に何らかの機能不全がみられ、初発型非行傾向(学童期からの非行傾向)がある。家庭の放置から街角家族的な非行集団に属し、非行を深化させつつ犯罪に至っている。ただし、昔の非行少年のように顕著な貧困傾向は認められない。
主な犯罪は、特殊詐欺、大麻や眠剤などの薬物の密売、ヤミ金融、債権回収、面倒見料の徴収代行等である。半グレの中でも、少年院から成人刑務所に収容経験がある者は、職業的犯罪者として10代の半グレを使嗾して犯罪を行っている。
さらに注意すべきは、職業的犯罪者である半グレが地元の暴力団に利用され、暴力団の犯罪を請け負っている。つまり、犯罪の元受け——孫請けの構図が形成されており、犯罪のネタ元である暴力団の存在は、元受けの半グレしか知らない。犯罪で得た利益は、元受けの半グレから上納されることで暴力団の資金となる。ここに、暴力団とは異なる半グレの匿名性という本領が発揮される。
十把一絡げの半グレを4つに分類してみる
8名の半グレに対する面接調査に加え、更生保護就労支援の現場や、病理集団構成員との面接で聴取した範囲から、半グレと呼称される病理集団には、少なくとも4パターンが存在すると仮定するに至った。
それは、①関東連合等に代表される草創期の半グレ、②特殊詐欺等の実行犯(昨今ではそのまま暴力団や準暴力団の手先となっているケースが多い)、③犯罪に従事しつつ正業を持つグループ、④偽装離脱や社会復帰に失敗した元暴アウトローの存在である。
まず、①の関東連合OB等に代表される半グレは、暴力団になるのは面倒くさいが10代の頃の非行集団関係を引きずり、暴力団に近い準暴力団的な活動(ミカジメ徴収や薬物関係、債権回収等)を業としている集団。なお、このカテゴリーには、AV業界に進出する者もいる。人気女優を在籍させるプロダクションを立ち上げることで、AV業界で成功を収めている(AV業界のスカウトは、プロダクションよりも上位に位置し、暴力団の縄張り内での活動となるため、暴力団のシノギに直結する)(「OCC Summer No.6」立花書房、2019年)。彼らは暴力団と密接な関係がある。
次に、②の特殊詐欺に従事する青少年。まっとうに働きたくはないがカネは欲しく、暴力団や準暴力団になりきれない層。年齢的にも若いことが特徴である。かれらは暴力団や準暴力団犯罪の実行役となる傾向がある。筆者が担当した保護観察中の少年の多くがこのカテゴリーに該当する。なお、彼らは、使い捨てにされるケースが多く、逮捕時などにはトカゲの尻尾切りとなる消耗要員である。