暴排条例で多様な半グレが雨後のタケノコのように勃興
当局は半グレをどのように認知してきたのだろうか。
13年、警察庁は「この種の集団は暴力団と同程度の明確な組織性は有しないものの、これに属する者が集団的、常習的に暴力的不法行為等を敢行しており、中には暴力団等との密接な関係がうかがわれるものも存在しているとして、準暴力団と位置付け」ている(「準暴力団に関する実態 解明及び取締りの強化について(通達)」2013年3月7日付警察庁丁企分発第26号)。
警察政策学会資料第71号(2013年7月)では、「『これからの安心・安全』のための犯罪対策に関する提言」において半グレという用語が登場している。そこでは、半グレを「暴力団とは距離を置き、堅気とヤクザの中間的な存在である暴走族OBである」とした溝口敦氏の『暴力団』(新潮新書、2011年)における記述が紹介されている。
溝口氏が「半グレ」と名付けた当時、この病理集団は20~29歳の年齢層で構成される暴走族OBであった。しかし、2010~11年に全国で施行された暴排条例で動きが取れなくなった暴力団の斜陽に伴い、多様な半グレが雨後のタケノコのように勃興してきた。この間、半グレは変異しており、もはや暴走族OBだけではなくなった。
統計から読み取れる半グレの跋扈
図表1を見てもらいたい。一般刑法犯は過去最低を更新し続け、日本社会は安心・安全になったと言われるが、高齢者の被害割合は右肩上がりである。高齢者が特殊詐欺の標的になりやすいことを考えると、特殊詐欺事件が増加していると考えることもできるだろう。
若者に蔓延する大麻事犯も同様に増加している(図表2)。いずれも、半グレの代表的シノギである。
筆者は、半グレ構成員への面談調査を通して情報を収集した。その結果、2010年代前半に半グレと呼ばれた者と今日のそれとでは、構造や活動が変容していると考えるに至った。