NY市長も「来訪を心待ち」と歓迎

「日本にいては接種の見通しが立たない。このまま待っていたのでは、ワクチン接種がいつになったら自分の順番が来るのか」

NYでは観光客も無料でワクチンを接種できる
写真提供=土橋省吾氏
NYでは観光客も無料でワクチンを接種できる

日本政府が主導するワクチン接種の手際の悪さに耐えかね、「海外接種ツアー」に出かける日本人が少しずつ増えている。

こうした人々の目的地は米国ニューヨーク(NY)。デブラシオNY市長は「観光客にもワクチン接種を解禁する」と自らPR、自身のツイッターにも「各国からのワクチン接種者の来訪を心待ちにする」と記したツイートが掲載され、現地からは歓迎ムードも漂ってきた。

コロナ禍で大きく痛手を受けた観光業へのテコ入れとしては「禁じ手」と思える手段だが、NYへは実際に中南米をはじめとする国外からの観光客が続々と渡航。現地のホテルはもとより、近隣国からNYに向かうフライトは混み合うようになったという。NYではこうした人々に対し、1回の接種だけで済む「ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製ワクチン」を投与する。

筆者は、日本から観光客として渡米し、実際にワクチン接種を受けたという50代の日本人夫妻に話を聞くことができた。夫妻は「日本のスケジュールではまだいつ打てるか分からず、年内に順番が回ってくるかどうかも分からない」と現地に赴いたのだという。

現地旅行会社や夫妻の話をもとに、NY接種ツアーの概要をリポートする。

富裕層、芸能人など150人超が予約

「わが社がアテンドした接種希望の日本人ご夫婦の様子がニュース映像で流れるや否や、電話やメールが一気に殺到しています。1日も早く接種を受けたいと考える人々がこんなにいるとは正直思いませんでした」

NYで日本人向けの旅行代理店を経営する「あっとニューヨーク」の土橋省吾せいご社長は、あまりの反応の大きさに驚いたという。筆者はテレビ報道の3日後となる5月19日に取材をしたが、すでに150人余りからアテンドの手配希望が届いているという。

ツアーの予約者はどのような人たちなのだろうか。土橋社長は「これまでの感触では比較的社会的地位の高い方が多め。おひとりでNYに渡航される、という方がメインです」と語る。

「東証一部に上場している法人の経営者さんから電話をいただいたりするなど、いわゆるVIPや芸能人、有名人といわれる方がいらっしゃいます。不特定多数との接触が多いとか、さまざまな場所に出かけなければならないといった方たちです」

個人ではなく、「団体接種」の打診もあったという。