このまま開催に向かって突き進んでいいのか

東京オリンピック・パラリンピックの開催中止や延期を求める声が強まっている。このまま7月23日の開催初日を迎えることができるのだろうか。

2020年1月2日、新国立競技場
写真=iStock.com/Tom-Kichi
※写真はイメージです

政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長も、4月28日の衆院厚生労働委員会で「オリンピックの開催については感染レベルや医療の逼迫ひっぱく状況を踏まえ、議論をしっかりやるべき時期にきている」と述べている。

このまま開催に向かって突き進んでいいのか。それとも早く中止・延期を決断すべきなのか。五輪のスポンサーとなっている新聞4社の社説も論調が変わってきている。各紙を読み比べながら考えてみたい。

菅首相は「安全安心な大会が実現できるように」と繰り返すが…

菅義偉首相は5月10日の衆院予算委員会の集中審議の中で、東京オリンピック・パラリンピックについて「国民の命と健康を守り、安全安心な大会が実現できるように全力を尽くすことが私の責務だ」とこれまで通りに開催する意思を強く示した。また開催時の感染対策については次のように話した。

「選手たちの行動範囲を原則として宿泊施設や競技会場などに限定する。そのうえで、一般の日本人との接触を回避するため、それぞれの場所での動線分離を徹底する」
「移動方法を原則、専用車両に限定し、厳格な行動管理を実施する。ルールに違反した場合には、大会参加資格を剥奪する」

野党側から「オーバーシュート(感染爆発)しても開催するのか」と問われると、菅首相は「そんなことは全く申し上げていない」と強く反論した。