池江選手が出場を取りやめれば、開催の機運もしぼむ?

読売社説は続けて書く。

「SNS上には池江選手への中傷も見られる。丸川五輪相が『いかなる理由があっても許されない』と述べたのは当然だ。五輪の開催を巡り、心ない言葉を投げかけられている選手は他にもいる」
「五輪の中止を求めるなら、政府や東京都などに向けて声を上げるべきである。出場を目指して努力を重ねてきたアスリート個人に、『辞退して』『反対の声をあげて』と要求するのは、あまりに酷な注文で、配慮を欠いている」

これもその通りである。不満があるのなら、菅首相や小池百合子都知事に向けて発信すべきである。それを正々堂々と行えばいいだけの話だ。

読売社説は前半で「五輪の中止を望んでいる人たちの一部は、そんな池江選手が出場を取りやめれば、開催の機運もしぼむと考えたのだろうか」と言及し、後半で「五輪開催の是非論に、選手を無理やり巻き込むべきではない」と主張する。

政府や都などが十分な説明をしないことへの苛立ち

五輪開催の是非。これまで沙鴎一歩は五輪の開催には賛成してきた。

たとえば、昨年4月1日の記事「東京五輪を『1年延期』として本当によかったのか」との見出しを掲げ、こう主張している。

「延期は過剰反応だ。新型コロナは感染力や毒性が弱い。五輪の競技の大半は野外で行われるため、感染は起きない。室内競技でも密接、密閉、密集の3密がなければ問題ない。無観客とすれば競技は行える」という趣旨を書いた。

しかし、いまは事情が違う。感染力の強い変異ウイルスが世界中で大流行している。感染のコントロールがある程度できているとは言え、五輪開催で混乱を招く恐れは否定できない。

読売社説は「読売新聞の全国世論調査では、五輪を『中止する』が59%で最も多く、『開催する』は『観客数を制限して』と『観客を入れずに』を合わせた39%にとどまった」と解説した後、「菅首相は『安全、安心な大会の実現に全力を尽くす』と開催に意欲的だが、大会実現の具体策は示していない。開催への批判が選手に向かう背景には、政府や都などが十分な説明をしないことへの苛立ちがあるのではないか」と分析する。