KNT-CTは大幅な人員削減を含むリストラ断行で会社規模を小さく
一方のKNT-CTは、12月までの第3四半期までの数字ですが、やはり厳しい状況です。売上高は前年同期と比べてマイナス81.1%。(親会社株主に帰属する)最終利益も216億円の赤字です。
そして、KNT-CTが苦しいのは自己資本比率がマイナス、つまり「債務超過」に陥っているということです。親会社が電鉄会社の近鉄なので今は心配ありませんが、通常、債務超過に陥ると銀行は追加融資に慎重になり、経営が非常に厳しくなります。そんな中、KNT-CTは大幅な人員削減を含むリストラ策を打ち出しています。
この時期、会社の規模を小さくして嵐が過ぎ去るのを待つしかないでしょう。人件費を筆頭としたコスト削減が一番確実だからです。ただ、親会社の近鉄もコロナの影響を大きく受けて業績が悪化しており、大阪市内のビルや、京都などのホテルの売却を発表し、資金の確保に努めていますが、コロナが長引く中でなかなか活路を見いだせないでいるのが現状です。
旅行業は、今後しばらくKNT-CTのように、「小さくなる」ことによってこの状況をしのいでいくしかないと思いますが、この状況が長引けば、この先、歴史ある大企業でさえも経営に行き詰まるところも出てきてもおかしくないでしょう。
もちろん、こうした苦境は旅行代理店だけでなく、航空業界や陸運業界、ホテルなども同じです。コロナが長引いており、一部の企業は体力を落としつつあります。
いずれにしても、ワクチンの接種状況も含めてコロナウイルスがどう収束していくかに旅行関連業界の業績はかかっています。「ワクチンパスポート」ということもささやかれ始めていますが、日本はワクチン接種がかなり遅れています。世界の情勢も含めてしばらくは厳しい状況が続くと考えられます。