“ニューエラ”を感じた東京モーターショー

【野地】しかし僕より詳しいですね、トヨタのこと。

【横山】いえいえ(笑)。僕がトヨタの社長って子供の頃に認識したのは英二さん。スゴい人だと。

【野地】第5代社長の豊田英二さん。

【横山】この本を読んでそのルーツが分かりました。あぁ、豊田英二さんも大変なご苦労をされてるんだって。アメリカに行かれて、契約がうまくいかずに研修生として現場を回って……。グッときちゃいましたよ。

そして僕の中でいちばん画期的だったのは1970年。いきなりガッと新時代が始まった感じ、ニューエラという感じがしたのが70年でした。このときの東京モーターショーで、セリカとカリーナが同時デビューしたんですね。このときにトヨタってスゴいっ! と。スペシャリティカーの夜明け。

【野地】万博の年。そのとき横山さんは中学生?

【横山】いや、小学校4年生です。クルマが見たくて1人でモーターショーに行ってました。

【野地】そのときのお父さんは……。

【横山】どっちもいない母子家庭時代です(笑)。

【野地】端境期(笑)。

【横山】なんですけど、2番目のお父さんがちょろちょろしてました。密会時代?(笑)。で、僕が家に帰るとお土産らしきものがあって、「なぜ俺の好きなクルマの模型がここにあるんだろう?」と。子供ながらに、なんとなくは分かってましたけど。

【野地】お母さんは自動車には乗らなかったんですか。

【横山】いや、母親はどうもレーサーになりたかったみたいで、パブリカとトヨタS800に乗ってましたが、すごい飛ばし屋で。ライセンスを取りたいとかって言ってたんですけど、運転は下手だったので、気持ちだけレーサー気分で飛ばしてたんでしょうね。

【野地】みんなクルマ好き。

【横山】そうですね。クルマが大好きな一家で。

今まで乗ってきた車は40台にも

【野地】横山さんが初めて買ったのは外車ですか。

【横山】最初は日産のサニーとオールズモビル・カトラスでした。安くてアメ車で豪快で広くていいなと思ったんですけど、税金が次の年に12万いくら来てびっくりしたという。7500㏄もあったんです。それで大失敗ですよ。

【野地】車体価格はいくらだったんですか。

【横山】込み込みで35万。

【野地】それで12万の税金。ひどい。

【横山】当時は何も考えてなかったですから。高い授業料でした(苦笑)。

【野地】そのときはもうクールスで歌を。

【横山】まだクールスのスタッフでした。

【野地】その後、何台ぐらいのクルマに?

【横山】三十数台だと思うんですけど、うやむやなのも入れるともっとあるから、まあ40台弱ですかね。