【野地】大変でしたか、ラインの仕事は。
【横山】部品が重くて大変でしたけど、これをベテランのおばちゃんたちが手際よくやるんで、やはり経験というのはスゴいなと。こっちは慣れないから、怒られっぱなしで終わっちゃったって感じです。
【野地】トヨタの工場、一回見に行ってください。面白いから。
【横山】この本を読んで、ほんと行きたくなりました。あ、トヨタ博物館は行ったことあります。
【野地】あそこも面白い。クルマづくりの歴史がよく分かりますね。
【横山】トヨタの博物館なのに、ほかのメーカーの自動車もずらっと。
【野地】あるんですよね。
【横山】その太っ腹なところ、さすがだなと。それこそフォードも日産も。
【野地】スバル360とかね。あれが全部動くというのが。
【横山】スゴいですよねえ。
代表取り締まられ役の横山ですが…
【野地】さて、今度はダブルジョイレコーズ代表取締役、経営者の横山さんとして。
【横山】経営、それはもう頭が痛くなります。ほんと僕は代表取り締まられ役なので(苦笑)。
野地さんの本を読んで、大野(耐一)さんという方、すごいなあと思いました。創業者の豊田喜一郎さんが考え出したトヨタ生産方式というものを、体系化して現場に根づかせていって。ムダを、余計な在庫を置かない、必要なだけ作るというのは、どんな現場でも見習うべきことだと思いましたし、ここまで人に厳しく、言うべきことを言えるかなとか、いろいろ考えさせられました。
それとこの本には、常識にとらわれない「考え方のセンス」的なものが描かれていると思いました。実際にフォードのアメリカの工場を見て、日本の工場に採り入れたこともあるけれど、必ずしも全部を受け入れるんじゃなくて、オリジナルな考え方を持って、自分たちに一番いい形にしていくというのはスゴいなと。それが英二さんだったんですよね。
大企業なのにガレージ感覚でいるユニークさ
【野地】工場の配管について誰よりも詳しかったらしいですよ、英二さんは。エンジニアであり、工場を建てる時も自分で先頭に立っていたから。この下を通っている管から熱がとれるぞとか。そんな社長、なかなかいない。
【横山】今の章男社長はモリゾウさんとしてレーサーもされていて。社長がレースに出る会社もなかなかありませんよね。すごい大企業だけど、社長が本当にクルマが好きで、現場が好きで。今もガレージ感覚というのがユニークですよね、トヨタは。
【野地】今日の話、豊田章男社長に今度教えてあげよう。すごく喜ぶと思う。