長年同じ会社に勤めてきたけれど、業績悪化でトップに対して不信感が──。初めての転職で「次はどんな企業を選ぶべきか」と悩む40歳の女性に、35歳以上の転職事情に詳しい黒田真行さんがアドバイスをしてくれました——。
右肩上がりから下落するイラスト
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◆今回のお悩み
会社の業績が悪化し、初めての転職を考えています。
新卒で入った大手メーカーで勤続18年、現在はチームマネージャーを務めています。ここ数年、会社の業績が悪化しており、有効な手を打てない経営層に不信感を覚え始めました。この先、現場の私たちがいくらがんばっても事業環境が好転するとは思えず、給与が下がったこともあって、以前はあったモチベーションを失いつつあります。
このままでは先が見えないため、転職を考え始めていますが、転職活動の経験がなく、悩んでばかりでなかなか踏み出せません。そもそもこうした理由で転職していいものかどうか、転職するなら何を基準にどんな企業を選ぶべきなのかなど、アドバイスをお願いいたします。(40歳・メーカー勤務)

自分も「業績が悪化している会社の一員」という自覚を

ここ数年の傾向として、重厚長大企業やアパレルは業績が落ち始めています。最近はこれにコロナ禍が拍車をかけ、給料を下げたり希望退職を募ったりする企業も出てきました。これを機に、もっと安定した企業へ転職しようと考えている人は少なくないと思います。

事業環境や業績の変化は、転職の動機としては多いものです。経営層が打ち出す打開策に意義を見いだせなかったり、あるいは経営陣の交代などで風土や方針が変わって「もうやってられない」という気持ちになったり。特にマネージャークラス以上の人は、そうした変化を体感しやすい立場にあります。

ですから、こうした動機で転職するのは、決して軽率な行動ではないと思います。ただ、この女性は新卒で入社し、ずっと同じ会社でキャリアを積んできたとのこと。今いる会社の方針やカルチャーが、身に染み付いている可能性は高そうです。

業績悪化は業界全体の傾向なのか、それとも自社だけなのか。もし自社だけだとしたら、その会社ならではのカルチャーのせいかもしれません。つまり今、自分が当たり前と思っている仕事のやり方が、業績悪化の一端を担っている可能性があるわけです。

まずは自分を「業績が悪化するような会社の乗組員の一人」と捉えて、それが転職市場でどう評価されるかを考えてみてほしいのです。