「経営陣が悪い」はNG
一般的に、経営層以外の社員は「会社は会社、自分は自分」と切り離して考えがちです。でも、転職先の人たち、つまり雇う側は、そうした目では見ません。例えば、転職の動機を「業績が悪化したから」と説明したら、「あなたもそんな会社の一員でしょうに」と思われるリスクがあります。
そもそも転職市場では、業績の悪い社にいること自体がマイナスになりうるのです。そうした企業にいた自分、そのカルチャーに染まっている自分が、転職市場に打って出た時にどう評価されるか。「経営陣が悪い」と他責にするのは簡単ですが、それで評価がプラスになるとは思えません。
時計の針を巻き戻せるならどうするか
マイナス部分を払拭するためには、業績が悪化し始めた時に自分は何をしたのか、またはどうするべきだったと思うのか、ひとつでも言えるようにしておく必要があります。マネージャーならある程度の裁量権を持っているはずですから、「自分は何をしたのか」は特に重要なポイント。「もし時計の針を巻き戻せるなら、こうする」でもいいでしょう。これは、転職後、転職先の企業にどう貢献できるかのアピールにもつながります。
この女性の転職の動機は、わがままでも軽率でもないと思います。ただし、自分は今いる会社のカルチャーに染まっているのだという自覚を持つことが大事。そのうえで転職活動をすると決めたなら、ぜひ雇う側の視点で自己を見つめてほしいと思います。
「次は業績のいい会社に」は失敗のもと
次に、転職先をどう選ぶべきかについて考えてみましょう。経験から言えば、初めて転職する人に多いのが「辞める理由=次の会社を選ぶ基準」にするケース。「業績が悪いので辞める、だから次は業績がいい会社を選ぶ」といった具合ですね。
しかし、これは失敗する可能性大です。転職経験のない人は、当然のことながら他社を知らず、転職先候補の企業の「ありがちな短所」に気づけないことがままあります。日本にはおよそ160万社以上もの会社があり、一見理想的に見える会社に意外なジョーカーが潜んでいることも。初めての転職活動だと、ジョーカーの存在を想像すらできないまま、業績だけ見て飛びついてしまう可能性があるのです。