今春の首都圏の私立大学受験ではMARCHを含む上位大学で受験者数が激減したことにより、倍率が低下し、合格難度も緩やかになったところが多い。中学受験塾代表の矢野耕平氏は「中学入試は大学入試の影響を大きく受ける。2022年度の中学入試は近年過熱気味だった有名私大付属校離れ現象が起きる可能性がある」と指摘する――。
この5年間でMARCH付属中高の人気が軒並み上がったワケ
近年の首都圏中学入試では大学付属中学が人気を博している。その理由としては、以下の2つの理由が挙げられる。
1)2020年度あるいは2024年度からの大学入試改革の全貌がなかなか見えず、小学生保護者たちの不安が高まっていること。
2)2016年度より実行された文部科学省による「大学合格者数抑制策(定員の厳格化)」により、主として首都圏の私立大学が難化していること。これに伴い、この数年は浪人生数が増加している。この事情を耳にした保護者たちがわが子をエスカレーター式に大学に進ませる道(大学入試を回避させる)を見いだそうとしていること。
「いまの大学入試が難しくなっているなら、大学までエスカレーター式につながっている付属の中学校にわが子を通わせるのが安心だ」
そう考える小学生保護者が増えたのだろう。
図表1は、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)付属中学校の2016年度入試と2021年度入試の実施倍率を比較したものだ。ほとんどの学校が赤字(倍率を伸長させたところ)」になっているのが分かるだろう。