親がどんな教育をすれば子供の学力は上がるのか。教育費を含む家計相談を受けるファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは「子供を東大に入れた母親の話を鵜呑みするのではなく、文科省などの大規模な調査・分析を各家庭の教育方針を立てる参考にするといい。ある調査では、親が低学歴&収入でも子供が高い学力を持つケースが報告されており、そうした家庭の習慣を実践してもいい」と指摘する——。
「子供を東大に入れた」ママの話が全然役立たないワケ
大学受験シーズンが終わった。
近年の大学受験は、浪人生が減少し、「安定・地元志向」が強まっていると言われるが、コロナ禍による親の経済状況も反映してか、今年はより一層その傾向が強まった感がある。
それは、多くの私立大学における一般選抜の志願者が減少したことからもわかる。日本大学、早稲田大学、法政大学などは前年よりも1割以上も下回ったという。
とはいえ、筆者がファイナンシャル・プランナー(FP)として、家計相談を受けていると、私立の中学・高校・大学への進学など、親の子供に対する教育費のかけ方・考え方が、コロナ禍前とあまり変わらないように思える。
とくに、まだ就学前の子供のいる家庭の場合、進路希望を確認すると、「中学校から大学までオール私立で試算してください」と言われることが少なくない。
先行き不透明だからこそ、子供の学力や適性が見えなくても、親としては、最も費用がかかるケースを想定して準備を進めたいということなのだろう。
早めの準備は大切なことだが、使えるお金は有限である。その他の資金ニーズともバランスを取る必要がある。子供に最適な教育機会を与えるための費用投下を効率的に行うには、「情報」が欠かせない。そして最も肝心なのは、その情報がエビデンス(科学的根拠)に基づくものなのかということだ。