「相談がある」「話がしたい」と言われれば、だれもが身構えてしまう。自然な形で人と会う約束と取り付けるにはどうすればいいのか。マネジメントコンサルタントの濱田秀彦氏は「相手に安心感を与え、自尊心をくすぐる言葉遣いを心がけるといい」という——。
オフィスで握手するビジネスパーソンら
写真=iStock.com/pixelfit
※写真はイメージです

用事のために行くだけの出社だと仕事が細る

仕事柄、講師としてリアルセミナーやオンライン研修で多くのビジネスパーソンと話をする機会があります。

テレワークの状況を聞くと、出社とテレワークを組み合わせて活動している人が大半です。そんな時、「テレワークでよいと言われているのに、どうして定期的に出社するのですか?」と聞くと、最も多いのが「書類関係で行かなくてはならない」というもの。取引先から送られてくる書類の処理をしなくてはならない、契約書類に印をもらわなければならない、といった理由です。

そのほかにも、来客や社内ミーティングの対応のため、大量の文書プリントのためといった理由で、用事があって、仕方がないから行くということ。でも、これはとてももったいないことです。

10年以上前の話ですが、かつて私は会社員時代、自分のやりたい業務に専念するため、自ら望んで固定プラス成功報酬の契約社員になりました。2年間、月に2回ほど出社し、後は自宅と客先、出先でワークするという生活を続けました。いまのみなさんとよく似ています。

やってみると、会社に行かなくても、仕事はできますし、通勤や作業の寸断が少ないため、むしろ仕事がはかどります。「これはいい」と思いました。

出社に関しては、最初の頃、私も「ねばならない」で出社していました。自分宛に顧客や業者から送られてくる郵便物を取りにいかなければならない、社内にある特殊なシステム機器を使うために行かなければならない、といった感じでした。用事のために行く、というマインドですから用事が済んだら、さっさと帰ります。

しかし、それを続けていたら、だんだんと仕事が細ってきました。また、どんどん仕事がやりにくくなっていきました。それには3つの理由がありました。