テレワーク中心になることの3つの弊害

ここからは、私の経験に基づいた話です。出社しない、あるいは出社しても用事を済ませたら帰ってきてしまうことの弊害は、主に3つあります。

1つめの弊害は、新たなビジネスチャンスと触れる機会が減ることです。個人に入ってくる情報には限界があります。一方、会社という大きな受け皿にはさまざまな情報が入ってきます。そういった情報に触れられなくなるのは大きな問題です。自分の実績やスキルアップにつながるプロジェクトの情報が入ってこなくなると、仕事は細り、有益な経験ができなくなるからです。

2つめの弊害は、人間関係が希薄になり、仕事が進めにくくなることです。メールやメッセンジャーで、事務的なやりとりをしているだけだと、「気心の知れた」状態は薄まります。「そこをなんとか」という頼みごとがしにくくなりますし、相談をしても教科書通りの答えしか得られず、仕事上の問題解決に手間と時間がかかるようになってきます。

そして、3つめの弊害は、自分自身のアイデアが枯渇していくことです。特にものごとを批判的に見る傾向のある人にとって、これは深刻な問題です。なぜなら、ひとりで考えていると「これはいいかも」と思うことがあっても、もう一人の自分が「いや、それはダメだ」とアイデアをつぶしてしまうからです。身近に楽観的な人がいて、その人と話していると批判というブレーキをはずしてもらえます。それができなくなるのが問題なのです。

出社は、この3つの弊害を除去するための機会です。その観点から、出社したらやりたい3つのことは以下になります。

①ビジネスチャンスをつかむ
②人間関係のメンテナンス
③アイデアを作ってくる

出社のきっかけは、「ねばならない」用事を済ますためでもよいでしょう。ただ、出社するなら、それに加えて3つのことをやってくる。むしろ本命はそちらです。

出社の頻度は、この3つができれば月に一度でもよいですし、「この3つのためには週に1回は行く必要がある」と思えば、それがよいでしょう。

マネジャーと相談しながらデザインの調整
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです

出社を戦略的に活用するために必要な頻度を、自ら決めるのがお勧めの方法です。

そして、出社したら目的を達成してくる。そのためには、周到な準備が必要です。

出社の価値を高めるためにはアポが必要

出社の目的としてお勧めした、「ビジネスチャンスをつかむ」「人間関係のメンテナンス」「アイデア作り」、これらに共通することは、「会う相手の人選」が重要だということです。ビジネスチャンスを持っている相手、仕事を進める上で人間関係を深めておいたほうがよい相手、アイデア作りの触媒になってくれる相手、そういったヒトと会うことがポイントです。そのためには、アポをとっておくのが効果的です。

こちらが出社するのは、限られた日。行った日にターゲットになる相手がいなければ、意味がありません。また、相手がいても、話をする時間が十分にとれない状態では効果が薄れます。アポが効果の分かれ目になるというのはそういうことです。