まったく未経験の部署で、10個下の部下に学ぶ日々
杉浦さんにとってさらなる試練はまるで未経験の部署への異動だった。二人目の子どもを出産後、育休明けで着任したのはライフスタイルメディアを手がける部署。メディアの運営と法人営業の二つのチームを率いるグループリーダーになったが……。
「私はメディアの運営も法人営業も初めてだったので、すぐに全体を把握することが難しかったですね。それまでは自分が積み上げてきたところでリーダーになったので、その部署のことならなんでもわかったし、自信をもって指示できていたけれど、新しい部署では何もわからない。これはもう無理だなと。ならば考え方を変え、わからないことは教えてもらおうと気持ちを切り替えました」
杉浦さんは10歳ほど年下の部下たちに1から学び始めた。営業のやり方もわからなかったので、部下がクライアント企業へ行くときに「同行させて」と頼み込む。部下に学ぶ日々を辛いと感じることはなく、むしろ楽しかったと振り返る。
「情報審査は入居条件や物件情報などデータで入力ミスを見つけては修正を依頼する仕事だったので、疎まれたり、怒られたりすることも多くて。メディア運営に移動してからは『記事を見て来店してくれた人がいました!』と喜ばれたり、『ありがとう!』と感謝されたりするのが、とにかく嬉しくて。営業先で知らない会社の人と話すことも楽しく、仕事って、なんて面白いんだ! と思いました」
怖い上司との距離はあえて詰め、話しかけてもらえるように
翌年には新規事業の開発に携わり、そこでは上司から学ぶことが多かった。上司は厳しい人だったが、事業とはなにかを一から叩き込んでくれた。
「私は根ほり葉ほり聞くので、しつこかったと思います(笑)。上司はすごく怖かったけれど、距離を置くとよけいに緊張するので、少しでも溝をつくったら駄目だと思っていたんですよね。こちらから聞くだけではなく、上司に話しかけてもらえる関係づくりを意識して、話しかけられたらいつでも応えられるように、質問もため込んでいました」