「SMAP騒動」は公取委が介入する事態に
「対立するならSMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう」
メリー副社長は飯島を突然呼び出し、記者の面前でこう叱責したのである。
飯島の台頭を恐れ、娘ジュリーの社長就任が危うくなるかもしれないと考えたメリーが、飯島を切ったという説が有力である。それに、SMAP人気は限界だと考えていたメリーが、歌も踊りもうまい「嵐」をジャニーズの金看板にしようと考えたのであろう。
飯島はジャニーズを去り、2016年8月にジャニーズ事務所は「SMAPは同年12月31日をもって解散する」ことを公式に発表した。
草彅、香取、稲垣はジャニーズを退所したが、元SMAPの看板を背負っていても、テレビで見る機会はみるみる減っていった。
ここまでなら、SMAPを凌ぐ人気と、動員力を誇る「嵐」がいればジャニーズにとって、そう大きな痛手にはならなかったはずだった。
だが、「公正取引委員会がジャニーズ事務所(東京・港)を注意したことが明らかになった。『退所したSMAP元メンバー3人の番組起用を妨げるような働きかけがあった場合』は独占禁止法違反につながる恐れがあるという内容だ。調査の結果、同法違反を認定するだけの証拠は得られなかったものの、3人のテレビ出演が激減する現状を踏まえて警鐘を鳴らした」(日本経済新聞2019年7月18日 6:00)
注意とはいえ、公取委の介入で、テレビ局はジャニーズ側に忖度をしなくなり、元SMAPの3人を起用することをためらわなくなった。
文春が報じたジャニーズの「暗部」
その年の初めには「嵐」が、2020年いっぱいで活動休止することを発表していた。
7月9日にはジャニー喜多川社長が亡くなった。享年87。メディアは彼の死を悼んだが、彼の子どもたちへのセクハラについて触れたところは少なかった。
週刊文春(1999年7/25日号)は、「稀代のプロデューサーの光と影」というサブタイトルを付けて、「ジャニー喜多川 審美眼と『性的虐待』」という特集を組んだ。
ジャニー喜多川が少年たちに事務所で性的虐待をしているという告発記事を連載し、それに対してジャニーズ事務所は文春を名誉毀損で訴えたのである。
2004年には最高裁で、損害賠償として文春側に計120万円の支払いを命じる判決が確定したが、セクハラについての記事の重要部分は真実と認定したのだ。
メリー喜多川と娘の藤島ジュリー景子は、2020年の末に活動を休止(実質は停止)するまでに、「嵐」の大掛かりなイベントを仕掛けようと計画していたが、予期せぬ新型コロナウイルスの蔓延で、それができなくなってしまった。
ジャニーズにとっては泣きっ面に蜂である。オンラインでのコンサートは何度かやったが、盛り上がりとグッズなどの売り上げが各段に違うはずである。