差別問題をはじめとする「タブー」にどう向き合うかは、その企業の価値を大きく変化させる。マーケティングに詳しいライターのトイアンナ氏は「ナイキはCMであえて差別問題を取り上げ、話題を集めた。一部の顧客は離れたかもしれないが、新たなファンも獲得したはずだ。一方、DHC会長の差別発言は顧客離れだけを引き起こす『悪い炎上』になった」という――。
夕暮れの土手で悲しい気持ちを抱く女性
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです

炎上で話題になったナイキのCM

在日韓国人だからと、差別されることを恐れて本名を名乗れない男の子。
チマチョゴリを着て、街中で目線を気にする少女。
ちぢれた毛をいじられて、言い返せない褐色の生徒。
けれどスポーツの世界ではみんな平等で、みんなが救われる。

そんなテーマのCMがある。

これはSNSで話題になった、ナイキのCMだ。

話題になっただけではない。炎上もした。私の見解では一方的な炎上というよりも賛否両論といった形だが、批判の多くは「日本にはそんなひどい在日韓国人・朝鮮人差別はない」というものだった。