パソコンにはトラブルがつきものだ。仕事で使うPCなら社内で聞けるが、私用であれば販売元のサポートセンターに問い合わせるしかない。パソコン雑誌『YOMIURI PC』の初代編集長を務めたジャーナリストの知野恵子さんは「新聞社を辞めて、私用PCを買ったが、すぐにはまともに使えない。メーカーとソフト会社をたらい回しにされて、午前中だけで計6回も電話で問い合わせるハメになった」という——。
自宅でリモートワーク
写真=iStock.com/Maryna Andriichenko
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パソコンを買おうと家電量販店に行ったら…

新聞社を退社した。まずパソコンを買わねばならない。考えた末、会社で使っていたパソコンと同じノート型のウィンドウズパソコンとソフトを買おうと決めた。長年、パソコンやインターネットを使っているが、機械操作は苦手だ。できるだけ慣れ親しんだ環境を再現し、操作のストレスを減らそうと考えた。

家電量販店の店頭でまず戸惑った。価格やスペックが書かれたボードに、ハードディスクの文字がないからだ。友人から聞いた話が頭に浮かんだ。「最近のパソコンはハードディスクではなく、動作が速い『SSD』を使うようになっている」。そうだった。「ストレージ」という記載があり、そこに「SSD」とある。なるほど、技術は変化している。

ボードを眺めていると、メーカー派遣の店員さんから「パソコンで何をしたいですか?」と声をかけられた。「文書作成、ネット、電子メール、リモート会議」「目に優しい大きな画面のノート型がほしい」と答えると、「カスタマイズ」を勧められた。自分でスペック、ソフトなどを選ぶ方法だ。ただ注文生産になるので、手元に届くまで2週間かかる。

データは手元で保存? それともクラウド?

今日買ってすぐに使おうと思っていたが、持ち帰り可能な製品は限られる。結局、カスタマイズすることにした。モデルを参照しながら、メモリ、ストレージ、ソフトなどを次々と選んでいく。OSは「ウィンドウズ10プロ」が入っている。

悩んだのはメモリとストレージだ。大きいほど安心だが、高額になる。店員さんは「メモリよりもストレージを増やした方がいい」と言う。ウィンドウズ10そのものが大きなソフトである上、パソコンメーカーもいろいろとソフトを組み込むので、使える領域が減ってしまうからだ。客には迷惑な話だ。最近は、データをクラウドに保存する人が多いが、私は手元で保存したい。そこでメモリはそのままで、ストレージを増やした。

会社ではマイクロソフトの「ワード」「エクセル」「アウトルック」「パワーポイント」を使っていた。この4本がセットになっている「オフィス ホームアンドビジネス」(Office Home & Business)を購入し、トレンドマイクロのセキュリティーソフトも買った。