サポート窓口がこんなに縦割りでいいのか

いったんトラブルが起きると、ぶつかるのは「縦割りの壁」だ。パソコンメーカー、ソフトメーカーの間をたらい回しにされることが少なくない。

例えばマイクロソフトのサポート窓口は「オフィス」と「ウィンドウズ」に分かれている。アウトルックを使用中のトラブルなので「オフィス」担当に問い合わせると、「ウィンドウズへ」と言われたり、パソコンメーカーに聞くように言われたりする。他社のソフトやハードが絡むと、さらに複雑になる。会社同士で責任を押しつけあい、客はサポートの隙間に落ちてしまう。

スマホで話しながら仕事する女性の頭上からの写真
写真=iStock.com/tdub303
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パソコンやソフトはICT(情報通信技術)の基盤だ。政府がデジタル化を進める今、重要度は一層増している。にもかかわらず、こんな状況が続いている。心配なのは、行政手続きのオンライン化が進むことで、縦割りがさらに深刻化することだ。ハードメーカー、ソフトメーカー、行政機関と、たらい回しされるようでは困る。

個人への視線は乏しいまま

菅義偉首相は行政の縦割り打破を唱えるが、ICT業界の縦割り解消も重要だ。個々人のパソコンやソフトは、人によってかなり違う。このため縦割りの壁を越えてサポートをするのは難しいと言われる。だが、技術やサービスは、変化と進化を続ける。官民で統括的なサポート態勢を作る必要もあるのではないか。会社などの組織に属していれば、組織内の担当部門が解決してくれるので、問題が見えにくい。だが、個人で実際にパソコンを買ってみると、そこにはいろいろな問題があるとよく分かった。

政府のデジタル政策の議論は、目標達成のスピード感を重視しているが、利用者の現状への視線は乏しい。政府は「誰一人取り残さない」と明言したが、それを忘れないでほしい。

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