世界断トツのビリ成長からの脱出が日本国の最大課題

長期にわたっての世界断トツのビリ成長、これこそ、今の政治が取り組まなければならない日本国最大の課題である。昨日と比べて今日の景気が良くなった、1年前に比べてよくなった、という次元の話ではない。

日本が「世界平均並みの経済成長」ならまだわかるが、(それでもその能力からして大問題だ)この優秀な国民からなる国が、世界断トツのビリ成長なのは大問題だ。「デジタル庁を作る」「携帯電話の料金を下げる」「不妊治療に保険を適用する」なとの枝葉の改革で解消できる問題ではない。それはそれで重要だが、何か根本的に何かが間違っているはずだ。

政治の喫緊の課題は、「日本が断トツのビリ成長なのか」の原因解明と、それに基づくドラスチックな改革だ。それには、まず「日本はすごい国」との能天気な認識を改め、事実を冷静に認識し、危機感を持つことだ。この低成長トレンドが続けば日本は、世界で経済三流国、四流国に転落してしまう。

さまざまな日本の問題は経済低迷に起因している

人々が豊かになったと感じないのはGDPが伸びていないせいだ。全体の経済が拡大していないのなら、(人口が変わらないのなら)一人当たりが豊かになるはずがない。国民が将来不安を持つのも当たり前。

財政赤字が極大化したのも、もとはと言えば経済が伸びていないせいだ。GDPが伸びなければ税収は伸びない。それなのに社会保障を中心に歳出は大きく伸びたのだから累積赤字が増える一方だった。

非常事態宣言で人けのない、浅草浅草寺の仲見世通り
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他国に比べての株価の低迷もGDPが成長しないことが理由だし、年金の持続性の問題もそれに起因する。国民から若いうちに資金を預り、金利や配当という経済成長の果実を含めて、将来、国民に還元する制度なのに、経済低迷で金利も株価も低迷し、予定していた果実が実らない。これでは持続性が問題になるのは当然だ。

「緊縮財政が世界ビリ成長の原因だ」などという意見は論外

財政拡大論者は緊縮財政ゆえのビリ成長だというが、そんなことを言ったら、世界中の識者から大笑いされる。

財政出動とは公共投資に限らない。社会保障の拡大も入る。税収+税外収入以上に歳出をすることが財政出動だ。財政出動の結果が大赤字のわけで、対GDP比世界断トツの赤字国とは放漫財政国家である。

日本は緊縮財政とは対極にある国だ。その最大規模の財政出動の結果が40年間で世界断トツのビリ成長なのだ。政府が出しゃばると民間が使える金(増税で)と活力が失われる。米国のGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック・アップル)は、政府主導経済国家の下ではここまで成長できなかっただろう。