変異型でも日本でははやらないのではないか

蔓延型ウイルスであることから「『東京を封鎖しろ』なぜ日本人はこれほどコロナを恐れてしまうのか」(注18)のコラムなどで、人類はこのウイルスを封じるすべを持たないと繰り返しお伝えしてきました。

これまでの経緯を見ると、ある程度の免疫力をアジア諸国やオーストラリア周辺の人々は有しているようです。私は、一足早く冬を越え日本と同じ流行形態のオーストラリアの状況を鑑みて今年の冬はコロナもインフルもはやらないことを予測しています(注19)。欧州で流行している変異型コロナウイルスが持ち込まれても日本でははやらないのではないかと思っています。

これから段階的にどのようにいろいろなことを緩和して自由な暮らしをとりもどしていくか、という方法論の方が必要です。

規制に最も大きな影響を与えているのが、指定感染症によるルールです。

秋になっても依然として医療機関は新型コロナウイルスの性質がわからなかった2020年1月28日に発布された「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」に従っていました(注20)。「『エボラ並み』どう見直す?」にわかりやすい図が掲載されています(注21)。いまでも、この政令ルールのもとに動いています。

変異体によっては何回やっても陰性の可能性も

2020年初めに重症者発生を警戒するあまり、指定感染症に指定するのと同時に高度の警戒を行うことが始まりました。医療機関は、厚労省の「診療の手引き」に従って診療することになりました。そこには呼吸器につながれた重症患者さんと元気に歩いてくるクリニックの患者さんとの区別はありません(注22)

その後、日本は日本のコロナウイルスを考えれば良いこと(注23)や死亡率が低い(注19)ことなどが明らかになりました。

10月に入り「新型コロナで「入院」を求める患者、65歳以上、基礎疾患保有、重症、妊婦などに限定—厚労省」(注24)という方針に緩和されました。その内容については、「新型コロナウイルス感染症の感染症法の運用の見直しに関するQ&Aについて」(注25)には「あくまで医療リソースの最適化のため」と述べられています。

元気な人は陽性でも自宅待機、という妥当な落としどころだと思います。一方で、いざというときに行政が介入できるように指定感染症を解除したくないという管理者の気持ちも理解できます。無理に解除するのではなく、日本でのウイルスの振る舞いをみて緩和し続けていけば良いと思っています。

また、いったん陽性でも再検査して陰性なら「偽陽性」として陰性扱いにして良いことが示されました(注26)。PCRは1回陽性でも、再検査することが必要かもしれません。逆に変異体によっては何回やっても陽性にならない可能性もあります(注2)

1回のPCRをもとにして報道発表される陽性者数は、本当は陰性の偽陽性者を含む数と考えて良いでしょう。不正確でも多めに発表しておくことは良いことかもしれません。今後は変異体の見逃しの偽陰性が加味されるかもしれません。PCR検査自体の誤差に、これらの誤差が加わってくるため信頼度は低下します。